ケンドリック・ラマーらとはやや異なるヴェクトルで西海岸の新たなトレンドを生んでいるのが、DJマスタードと彼の属するプッシャーズ・インクだ。そして、そのボスであり、彼と共に昨年来日も果たしたコンプトンのラッパー、YGがついにメジャー・デビュー。ロング・ヒット中の“My Nigga”、公式発表前からストリートでバズりまくったドレイクとのコラボ“Who Do You Love?”と、キモでもあるマスタードのプロデュース曲はどれもこれも少ない音数でエグいグルーヴ感を放ち、YGのラップもスリリングかつドープ。TDE勢やテラス・マーティンらの参加もあり、現行西海岸シーンの面白味と圧倒的な勢いが詰め込まれた傑作だ。ドッグ・パウンドの名曲を下敷きにした“Do It To Ya”も最高。