インタビュー

NY在住ギタリストの吉田次郎、〈印象派のような音楽を高音質録音で届けたい〉との想いで生み出した新作を語る

NY在住ギタリストの吉田次郎、〈印象派のような音楽を高音質録音で届けたい〉との想いで生み出した新作を語る

次世代に繋ぐためのハイ・クオリティ・サウンド

 ニューヨーク在住の売れっ子ギタリスト、吉田次郎が3年振りに発表したニュー・アルバム『パステル・シェイド』は“印象派のような音楽”を“高音質録音で届けたい”、そんな想いを形にした作品である。色に例えると中間色。彩度と明度を絶妙に変化させながら丹精込めて繰り広げているプレイは、和音感を浮き彫りにし、メロディとハーモニーの融和を伝える。楽器だけでなく、録音機材やスタジオ周りにも精通していなければ生み出せない構築美。

 「ジャズの論理性を音にした時の美しいハーモニーを表現したかったんです。だから、かなり凝ったコード・ワークの曲もありますし、譜面も緻密。そういう意味ではクラシックの要素が強いと言えますね」

吉田次郎 パステル・シェイド Sony(2015)

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 全曲ドラムレス&ベースレス。トリオによる1曲を除き、すべてデュオ演奏というシンプルな編成ではあるが、楽曲により5人のパートナーがチェンジしている。そのうちの4人がピアニストというのも興味深い。

 「低音・高音、全ての音が美しく聴けるハイレゾ/DSD録音なので、ギターよりもレンジの広いピアノの響きも残したかったんですよ。ピアニストをひとりに絞らなかったのは、共演者を変えることで自分のアプローチに変化が生まれ、アルバム全体の色彩が豊かになるからです」

 アンディ・エズリンヴァーナー・ガーリッククリヤ・マコト竹下清志という個性の違う面々は、いずれも吉田が信頼を寄せているミュージシャン。

 「演奏力はもちろん、初見に強く、曲の解釈も大変優れています。彼らが奏でるピアノと僕のギターの絡み具合にも注目して欲しいですね。それにしても、みんな妥協しない、しない。マイクの位置を決めるのにどれだけ時間をかけていたことか(笑)」

 古くからの友人でもうひとりの共演者、オレ・マティセン(sax)を含むメンバーの提供曲やスタンダード・ナンバーもプレイ。吉田自身のオリジナル曲も収めており、その中には、彼が音楽監督を務めている2016年公開予定のハリウッド映画『I Remember You』のテーマ曲もある。それらをナイロン弦、スティール弦、エレクトリック・ギターと弾き分け、自分の息がマイクに入らぬよう、マスクをして録音するなど、こだわった部分は数知れず。マイクやシールド、アンプなども厳選、細部に渡ってクオリティを追求したアルバム『パステル・シェイド』はいわば、吉田流・美の結晶といえるが、そこには、良質な音楽をベストな状態で次世代に継承したいという願いも込めていた。

 「お酒でも飲みながら純粋に良い音楽を聴いてみたいと思っている若い方にも是非聴いて欲しいです」

【参考動画】吉田次郎が生演奏を披露したNHK-FMのラジオ番組「なみはな」音源

 

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