あれもジョルジオ、これもモロダー
例えばドナ・サマー“Our Love”のようなトラックとニュー・オーダーのアレを比較してみなくても、ジョルジオ・モロダーのミュンヘン作法はその後のダンス音楽に多大な影響を残しました。シンセ・ポップ、ニューウェイヴなど呼び方は何でもOKですが、その功績とアイコン感が愛され、ジョルジオは本人不在の90年代以降もユーロ圏を中心に、DJヘルやウェストバム、石野卓球をはじめとするテクノ方面から厚い支持を集めてきました。なお、サウンド面で言うとFSたちも“I Feel Love”のマッシュアップ演奏をしていたり、流石にこちらに載るだけのことはあります。
本人のサウンドメイクとドナの曲があるだけでもリサイクルは膨大なのに、コワモテなヒップホップ系を中心とする〈スカーフェイスの人〉という評価軸やサントラからのネタ使いがあり、一方でジェイソン・デルーロや安室ちゃんらがリメイクした“Flashdance...What A Feeling”など社会現象クラスの大ヒットを多く手掛けてきた人でもあるので、ジョルジオへの入口は本当に多いです。近年だとE-girlsが“Never Ending Story”を取り上げていましたが、Dreamの面々はその10年前に“Hot Stuff”をカヴァーしていたり……彼への評価が途切れていないことはそんな点からもわかるでしょう。