この夏もフェスをメインに忙しく活動中のSCOOBIE DO。Mikikiでは彼らの結成20周年をお祝いすべく、スクービーの特別企画を小出しにしてきましたが、記念イヤーのピークと言える10月4日(日)の東京・日比谷野外音楽堂公演〈ダンスホール野音〉が迫ってきたので、こちらもアニヴァーサリー攻勢に拍車を掛けますよ! ということで、今回はスクービーの直属(?)の先輩と言いますか、過去約15年に渡って共演回数も多数ならメモリーも多数のフラワーカンパニーズをゲストに迎えた〈フランキー8〉対談を敢行! 予想通り笑いの絶えない取材だったので、できる限りその雰囲気を文字でお届けできたらと思います!
【参加メンバー】
fromフラワーカンパニーズ
鈴木圭介(ヴォーカル)
グレートマエカワ(ベース)
竹安堅一(ギター)
ミスター小西(ドラムス)
from SCOOBIE DO
コヤマシュウ(ヴォーカル)
マツキタイジロウ(ギター)
ナガイケジョー(ベース)
オカモト“MOBY”タクヤ(ドラムス)
フラカンとスクービーの共通点
――そもそも両バンドの出会いはいつ頃だったんですか?
鈴木「スクービーのデビュー(2002年)ちょい前くらいか?」
MOBY「2001年10月ですね」
鈴木「(東京・下北沢)CLUB Queだよね?」
グレート「2マンやった時だよね」
マツキ「でも、その対バンの時にいきなり仲良くなったわけではなくて、その後僕らのメジャー時代の真ん中へんくらいに、徳島の映画館でやったライヴに共演させてもらって……」
鈴木「大失敗したやつね(笑)」
マツキ「あれはいい思い出ですね(笑)」
グレート「20年もバンドやってると酸いも甘いもあるじゃないですか……」
コヤマ「その〈酸い〉やつを(笑)」
鈴木「あそこで俺らは挫折を味わってるから」
――ちなみにそれはどういう大失敗だったんですか?
鈴木「徳島ではそれまでも普通にライヴハウスでやっていたんですけど、僕らの担当をしてくれていた某イヴェンターの方が、〈この2組ならホールでいける!〉と映画館だったところをコンサートで使っているような大きい会場で、フラカンとスクービーの2マンをやることになって……。あの時どれくらい入ってたっけ? 前2~3列くらいだったよね」
グレート「30~40人くらいだろう」
鈴木「もうね、ライヴハウスでやるより少なかったよな?」
一同:ハハハハハ(笑)。
鈴木「〈なんだこれ!?〉って。なかなかの挫折だったよね」
コヤマ「告知がされていなかったのかっていう(笑)」
マツキ「それはともかく(笑)、その頃は俺らがメジャー・レーベルに所属していた後期あたりで、これからどうやって活動していこうかと考えていたんですけど、その時にフラカンにはいろいろ(各地のライヴに)誘ってもらっていたんです。フラカンは(マネージメント会社に所属せず)メンバー4人だけで活動していたので、自分たちでやっていく方法というのを一緒にツアーを回りながら教えてもらうわけじゃないですけど、師匠の技を盗むみたいな感覚で……(笑)」
コヤマ「またその後に松山でライヴをやった時、俺と圭介さんは打ち上げに行かなかったんですよね」
鈴木「ヴォイス関係で」
コヤマ「ヴォイスがデンジャーなんで(笑)……まあ翌日に差し障るということで、その日はホテルに温泉があったから入って寝ようと思って、風呂へ行ったら圭介さんがいて」
鈴木「2人しかいなかったんだよな」
コヤマ「そうなんですよ。初めてQueで対バンした時は、圭介さんがすごく怖い感じで、気楽に話かけちゃいけないかなっていう雰囲気だったんですよね、先輩だったし」
鈴木「眉毛がなかったときかもしれない」
グレート「暗黒時代だったから(笑)。俺たちもちょっと怖いっていうか、大丈夫かなって感じだったもん」
コヤマ「だったんですけど、その温泉で初めていっぱい話して」
鈴木「喋ったね。最終的にはタオル取ったもんな(下半身にかけているタオルを取るフリで)」
一同:ハハハハハ(笑)。
鈴木「腹割って話したからタオルも取って。みんな打ち上げでワッショイやってる時に、〈気楽でいいよな~〉っつって(笑)」
コヤマ「その時に、さっき言ったようにフラカンはすでに独立していたので……」
鈴木「降格してね」
コヤマ「ハハハ……セルフ・マネージメントで走り出していて、で、俺らはちょうど降格して(笑)、独立したばかりだったので、〈こういうやり方はどうですかね~〉と訊いたりしていたんです」
――降格じゃないですけどね……(笑)。
グレート「かつて新聞にそう書かれたのよ。それをおもしろく言ってるだけなんで気にせずに(笑)」
鈴木「それで一時期やたら〈降格バンド〉って言うのが流行っちゃって(笑)」
コヤマ「メジャーから切られると〈降格〉って(笑)」
鈴木「それMCでも言ったかもしれない。当時のツアー中はずっと言ってた」
コヤマ「ハハハハ(笑)。まあそこで、一気に仲良くなったんですよね。普段ツアーで一緒になると、基本ネヴァーエンディングなツアーをやっているので、だいたい圭介さんはヘトヘトになっていて、〈いやもうねー〉って愚痴を(笑)」
鈴木「〈やってらんねーよ!〉、みたいな(笑)」
コヤマ「僕も歌を歌っているから悩みは同じなんですよ。そういう話は、やっぱり立場の違う人と話しても、ただいじけてるだけになっちゃうんですけど、圭介さんとなら心おきなく喋れる」
鈴木「器が大きいからね、何でも受け止めちゃう(笑)」
コヤマ「そうですね(笑)。だから、ヴォーカリストならではの話をよくしています。さらに圭介さんも僕も〈立ちヴォーカル〉じゃないですか、圭介さんはたまにギター弾いてますけど。〈ギター/ヴォーカル〉だとまた感じは違うから」
鈴木「ギター/ヴォーカルはラクだよな(笑)」
グレート「これはね、俺は悪いとは思ってないんだけど、そこ(立ちヴォーカルであること)にこの2人はすごくプライドを持ってると思うんだ。そういうヴォーカリストが少なくなってきてるから」
鈴木「しかもマイクスタンド使ってるバンドのヴォーカルは、いまほとんどいないよ」
コヤマ「まあ俺の場合はそれしかできないからというのもあるんですけど、でも圭介さんもそうだし、増子(直純:怒髪天)さんもそうだし」
グレート「増子さんは〈Fが押さえられねえ〉って言ってた(笑)」
鈴木「あとマイナーとメジャーの違いを〈ドライヴァーのマイナスとプラスみたいなことだろ?〉って(笑)」
コヤマ「全然わかってない(笑)」
グレート「そういう発言をしちゃうのがヴォーカリストだよね(笑)」
――ヴォーカルのお2人以外にも、そういった同じ楽器同士ならではの交流みたいなことはあるんですか?
竹安「楽器じゃないけど、お互いにプレイング・マネージャー(メンバー兼マネージャー)がいるっていうところだよね※」
※フラカンはグレートマエカワ、スクービーはMOBYがバンドのマネージャーを務めている
一同:ああ~、そうだね。
MOBY「〈ライヴのスケジュールがある程度決まったら教えて~〉みたいなやりとりはしてますよね」
グレート「そうだね」
MOBY「あと〈来年どこで(共演)やろうか〉という話を合間でしたり」
――毎年どこかで対バンするというのがそもそもあるんですね。
グレート「うん、また何本か一緒にやりたいから、どこでやろうかという話はするよね」
MOBY「〈東北ライヴハウス大作戦※〉とか、おもしろかったですよね」
※2013年に〈フラワーカンパニーズpresents「人間の爆発」〉として東北3か所でスクービーと共演
グレート「あれは相当だったな。2組でセッションをやってね、最後メチャメチャになったんだけど、すごく楽しくって。やっぱりそういうことができるバンドはそういないから。スクービーだったら(メチャメチャになっても)大丈夫っていう空気になるからね、こっちは」
鈴木「俺たちがグダグダになっちゃっても何とかしてくれるから(笑)」
グレート「グダグダになった鈴木の尻をシュウが拭くっていう(笑)。だいぶ両手汚れてるよな」
コヤマ「イヤイヤイヤ、もう喜んでですよ(笑)。他ではわからないけど、マエカワさんも必ずナガイケにベースを預けてハンドマイクになって(笑)」
小西「スクービーならそういう(メチャメチャな)ことしてもいいんだと思ってからはMOBYと入れ替わることも増えてきた。ぐちゃぐちゃになる前に絶対締めてくれるし、そのタイミングがわかる。それだけ長い間一緒にやってきたから」
グレート「お客さんが楽しめることが大前提なんだけど、そのなかですべて任せて遊べるというのはスクービーくらいだよね」
――すごく信頼関係があるんですね。そんななかで、お互いにどういうところが具体的にスゴイというか、リスペクトできる部分だと思いますか?
鈴木「言いはじめたらキリがないよ」
グレート「演奏が巧くてライヴがスゴイというのは、自分たちが思う良いバンドの条件だけど、スクービーはその上位、筆頭に近いと思う。どこに出しても恥ずかしくないっていうか」
竹安「常に更新している感じだよね。毎年一緒にやってるけど、その都度ちゃんとレヴェルも熱量も上がってる。この間〈ARABAKI〉でThe Birthdayのキューちゃん(クハラカズユキ、ドラムス)が久々にスクービーのライヴを観たらしくて、〈こんな凄いバンドだったっけ〉って驚いてたよ」
グレート「ああ、言っとった言っとった」
鈴木「俺たちはグダグタで――スクービーがこんなにスゴイのに、俺たちは何をやってたんだって思っちゃったもん、アレ(笑)」
コヤマ「そんなことないっす(笑)」
鈴木「泉谷(しげる)さんが認めたんだから※。泉谷さんにお礼のメールしたら〈近年稀に見る酷いライヴでしたね〉って(笑)」
※〈ARABAKI ROCK FEST. 15〉に〈フラワーカンパニーズwith泉谷しげる〉として出演していた
グレート「あれはあれで良かったんだよ(笑)」
鈴木「泉谷さんが〈近年稀に見る酷さ〉って言うんだから、相当酷いよ(笑)」
グレート「それが俺らとのライヴだってことに誇りを持ってもいいんだよ――でも確かに、スクービーの演奏を観たら〈うわ~、いいな〉って思うよな(笑)」
マツキ「でもそれは俺らがフラカンに対して思うこととまったく同じで。観るたびにスゲーなスゲーなっていつも思います。〈ARABAKI〉ももちろん素晴らしかったんですけど、今年の頭に松坂と宮崎と佐賀で共演させてもらった時は、3日間それぞれで違いを出していて〈今日はこうやってきたな〉っていうのがわかるんですけど、それがこちらの想像を超えていくというか。最終日の佐賀のステージを客席で観てて、スーパースターのライヴみたいな完成度だったんですよ。これは誰が観ても圧倒されるなと思ってジーンときちゃった。これだけ長い付き合いがあるのに、最新が最高と思えるというのがフラカンの強さ、素晴らしさだと思うし、それこそがロック・バンドのいちばんのカッコ良さかなというのをいつも一緒にやらせてもらうたびに痛感して、刺激を受けっぱなしでございます、はい――これくらいで(笑)」
鈴木「このくらいで(笑)」
一同:ハハハハハハ(笑)。
グレート「いま俺ジーンときちゃったもん、今日は気持ち良く寝れるわ(笑)。3本一緒に回ると、互いにライヴのセットリストやMCの雰囲気とかを変えていくのを観るのがおもしろいんだよね。ライヴは勝ち負けじゃないけど、お互いにより良いライヴをやるのが対バンをやる際にはいちばんいい形なわけで。そういうふうに(ライヴごとに)変化を付けられるバンドのほうがグッとくるよね。俺らもそうありたいと思っているし。スクービーはそのへんすごくマジメだから、信頼できる。MOBYの髪型くらいじゃない、変わらないのは(笑)」
鈴木「ジャンルで分けるのもなんだけど、パッと聴き(フラカンとスクービーは)全然違う音楽じゃないですか。僕らはスクービーのように16(ビート)的な要素はないし、見た目も片やスタイリッシュで、俺らはグダグダじゃないですか(笑)。いろんなところが全然違うんだけど、そういうところじゃないところでお互いを認め合ってるところはあるよな」
マツキ「そうですね。これが同じような音楽性だったらまた違ったかもしれない」
鈴木「トリビュート※に参加してもらって、それの逆カヴァーみたいなことを僕らがライヴでやったんだけど、その時にバンドのノリが全然違うっていうのを痛感した。(コヤマには)ヴォーカルで来てもらったんだよな」
※2014年にリリースされたフラカンの25周年記念トリビュート・アルバム『I❤FC MORE THAN EVER ~FLOWER COMPANYZ TRIBUTE~』で、スクービーが“恋をしましょう”をカヴァー
コヤマ「僕だけ参加したんですけど、リハーサルに一発目入った時、〈どうやってやるの?どうやってやるの?〉って俺がみんなに訊かれるという(笑)」
鈴木「(演奏するにあたって)簡単にしたけどごめんねって全員が言い訳して(笑)」
グレート「まずは謝ってから(笑)」
コヤマ「でも俺は(スクービーの)3人をバックにして歌うことばかりだから楽しかったですね。(スクービーのヴァージョンと)同じアレンジなんだけど、フラカンが演奏するとちゃんとフラカン味になるんです。〈こういうやり方しかできねえんだ〉って感じになるから、そこもまた気持ち良くて」
MOBY「(コヤマが)スクービーのヴァージョンで歌うのとノリが違ったのもおもしろかった」
竹安「でもヴォーカリストが変わると(同じ曲でも演奏が)ちょっと変わるよね」
鈴木「あの時はちょっとファンキーになったよな、俺たち(笑)」
グレート「顔もちょっとシュッとしたかもしれない(笑)」
一同:ハハハハハハ(笑)。
グレート「俺、たぶんジョーの(ライヴではお馴染みの)すり足やったもん(笑)」
ナガイケ「俺も〈JAPAN JAM〉で一緒にやった時(2013年)、ジャンプを合わせるところはマエカワさんのいつもの感じを出そうとしたけど、全然出せなかった(笑)」
コヤマ「グレート・ナガイケで」
ナガイケ「グレート感出なかった(笑)」