
幻想的に艶めくシングル“Adorn”共々R&Bチャートを制したセカンド・アルバム。全体の方向性は初作から大きくは変わらないものの、纏うオーラの濃密な深まりは明らか。アリシア・キーズとの共作曲も収録。

MARIAH CAREY Me. I Am Mariah... The Elusive Chanteuse Island/ユニバーサル(2014)
セールス不振で不名誉な扱いを受けた傑作から唯一ヒットしたのは、ミゲルを迎えた前年のシングル“Beautiful”。新進の才をオールディーズ作法の曲で優雅にもてなす慧眼ぶりも流石。

もともとハドモーとは旧知の仲だそうで、新作『Wildheart』の前フリとなるタイミングで“Deepspace”に客演。従来のミゲル感を裏切らない電化カレイドスコープの麗しさは、ケミカル・ブラザーズとの合体でも楽しめた。

グラムなセンスと情緒、キャッチーな普遍性を英国ロックから継承したミゲルは、この大作の40周年記念デラックス復刻盤に“Bennie And The Jets”のカヴァーを提供。ワーレイも交えてハマった名演だ。

オルタナよりもクラシック嗜好な雰囲気のあるミゲルではあるが、新作中の“leaves”ではスマパンのメランコリックな名曲“1979”をネタ使い。ダークな美意識も通じるところか。

大御所が若手を招いてトリビュートさせた企画盤で、ミゲルはアロー・ブラック、JC・シャゼイと並んで“My Girl”で声を重ねている。情感豊かでナイーヴな歌いっぷりは御大とも共通するところだ。

共にアンビエント系R&Bの流行時に核を担った彼女とは、出世作『Sailing Soul(s)』で手合わせしていたミゲル。いずれもLAのフィスティカフスが関わり続けている点で共通しており、サウンドの相似も自明だ。

ミゲル曲をネタ使いしたパーティーネクストドアのような例もある一方……柔軟なセンスを持つ新進ソングライターは、ハッピー・ペレスとサラーム・レミを招いて先人を最短距離でフォロー!