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〈オルタナティヴ〉となると、現行の本道とはまた別の新しい流れ、つまり主流ではなく傍流ということになるが、そんな意味や定義のお話ではなく、王道からハミ出した音楽や非主流派のアクトは昔から常に存在していたわけで、もちろんその在り方は一様ではない。ここ数年の動きでいうと過去のある時代を参照する系統もあり、ベッドルーム系もあり、ネオ・ソウルの支流的なバンド・サウンドもあり。ただ、それらの要素もすぐにメインストリームの傾向のなかに呑み込まれていくのが習わしであって、総体としてのR&Bはいままた盛り上がっているのが現状だと言えるのではないだろうか。
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時代の寵児にもう一段上のメジャー・サクセスを用意した2作目。イランジェロを呼び戻して耽美エント路線もスケールアップしているが、マイケル・ジャクソンの明快なオマージュで全米1位に輝いた“Can't Feel My Face”がマックス・マーティンのプロデュースというのもおもしろい。これがメインストリーム。
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ライとクァドロンのメジャー・デビュー後、リトル・ドラゴンとの仕事を挿んでロビン・ハンニバルの手掛けたのがベルギーの才女。彼女本来のレトロ趣味にアンビエント系やトリップホップ、艶なブラコンを接続し、インディー・ポップにおける流行に多面的なアプローチを見せる。ハドソン・モホークの参加も。
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ドレイクや初期ウィークエンドを思わせるベッドルーム作法の“Don't”が昨年いきなり話題となった彼は、ルイヴィルから姿を現したアップカマー。シンギン・ラップっぽい歌い回しで器用に甘味とまろ味を馴染ませていく様は、〈PBR&B版クリス・ブラウン〉といった趣もあり。このアルバムでさらに名を売るはず。
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容姿もオルタナティヴなヒッピー・ソウルマンが発表したばかりの新作。スウェーデンのマグナス・ティングセックが共同制作にあたり、主役の声にあるワンダーな成分をソウル~ファンクの流行に応じたモダンな方向へとうまく誘導した印象。ミゲル『Wildheart』でも助力しているカニエ傘下のベニー・カセットが参加。
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数年前に交差した人たちがまたそれぞれの道を往く様子は興味深いが、ミゲルは前作でフォーカスした官能的なアンビエンスに極彩色を溶き、バンド・メンバーとの録音も交えながらさらなる陶酔とサイケデリックへ没入している。ラファエル・サディークとレニー・クラヴィッツが濃霧の奥で隣り合った感じ。
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前作の時点で日本でも早耳を騒がせていたメルボルン発バンドの大傑作。ナイ・パームのジャジーな歌唱を導く闊達なアレンジと、そこに介在するソウルフルな折衷性は、この2作目で引き出しを増やしながら創造性豊かにスキル・アップ。かつてのオーガニックなアトランタ勢を想起させる知的な心地良さもある。
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ジャネル・モネイのコレクティヴがエピックと契約して出したコンピ。ジャネル本人のハキハキした“Yoga”もあるが、際立つのはイギーの“Fancy”をネタ使いしたジデンナのスナッピン・チューン“Classic Man”だろう。『Speakerboxxx /The Love Below』でのアンドレ3000を連想させるオルタナ感覚の輪廻。