国内屈指のポップ・アクトに成長したceroと、NYを拠点に現代ジャズ・シーンの最前線で活躍するトランぺッターの黒田卓也が、10月2日(金)にBillboard Live TOKYOにて開催されるライヴ・イヴェント「InterFM 897 開局記念 cero ~Night Drifter Live~」で待望の共演を果たす(翌3日には大阪公演も予定)。2015年の音楽シーンを象徴するceroのサード・アルバム『Obscure Ride』の影響源/参照元としてネオソウルやR&B、ジャズが横たわっているのは周知のとおり。そのなかには、黒田卓也が2014年に名門ブルー・ノートより発表した『Rising Son』も含まれており、共演もメンバーたっての希望だったという。それだけに、この邂逅は単なるコラボの枠を超えた意義深いものだといえるだろう。両者の出会いとお互いが抱くシンパシー、そして今回の公演について、新時代のジャズ・ガイド「Jazz The New Chapter」の監修者である柳樂光隆が、ceroのメンバーである髙城晶平、荒内佑、橋本翼と黒田卓也に迫った。 *Mikiki編集部

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――ceroと黒田さんが、今回一緒にライヴすることになったのはどういった経緯で?

髙城晶平「まずはInterFMから話があって」

荒内佑「(InterFM897の)開局記念というところから。僕らの番組(『Night Drifter』)もわりと長くやってきたので」

髙城「それで、これまでも番組で曲をかけてきたり、(ラジオやインタヴューなど)いろんなところで僕らが黒田さんの名前を挙げてきたのもあって、今回の話に至ったという流れですね」

――改めて、黒田さんの音楽はどういったところがお好きですか?

髙城「もともとレコーディングのときに、『Rising Son』を持ってきたのは荒内くんだったんです。いつも曲をミックスする段階とかで、どういう音に持っていきたいかってときに、最初に必ず参考音源を募るんですよ。そういうのがあると話が早いから。それで、〈この曲はこういう感じで〉とプレイリストみたいなのを作るんですけど、そのときに荒内くんが(『Rising Son』収録曲の)“Afro Blues”を持ってきて。あの曲はアフロビートなんだけどヒップホップ的なバランス感覚、ロウ(低音)が出ていて、音が粒だっているっていうか」

荒内「打点が思い切り見える」

髙城「というところから、ミックスの良さとか音楽の良さとかが伝わってきて。そういうところで、よく聴くようになりましたね」 

黒田卓也“Afro Blues”の2014年のライヴ映像

――ceroの『Obscure Ride』を初めて聴いたときに、僕が真っ先に思い浮かべたのもホセ・ジェイムズと黒田さんだったんですよね。ceroの皆さんも、ホセ(・ジェイムズ)の『No Beginning No End』の話もよくされている印象です。こちらも黒田さんが参加していて。

髙城「そうですね。(ホセの2010年作)『Blackmagic』のときは、フライング・ロータスとかDJ Mitsu the Beatsさんとかが参加していて、クラブ・ミュージック寄りというか、エディットされた良さがありましたよね。〈No Beginning~〉は生演奏にすごく比重が置かれていて、ディアンジェロ的なスタッフというかプロジェクトを更新している部分がいくつもあると思って」