INTERVIEW

Plastic Tree、疾走するバンド・サウンドと和装の旋律が絡み合う〈ポジティヴな諸行無常〉描いた彼ら流の夏ロック“落花”を語る

Plastic Tree、疾走するバンド・サウンドと和装の旋律が絡み合う〈ポジティヴな諸行無常〉描いた彼ら流の夏ロック“落花”を語る

言わば、ポジティヴな諸行無常。代謝する日々を傍観する彼ら流の夏ソング

 バウンスせずにはいられない跳ねたリフが前面に出た“マイム”、アンビエントな揺らぎのなかで時間軸が輪廻する“スロウ”、そして今回の“落花”。シングルを発表するたびに振り切れた方向性を提示してきた近年のPlastic Treeだが、果たして本作はどうなのか。

 「“マイム”がわりとエレクトロ寄りで、“スロウ”はバラードで。前のシングルがそれぞれバンドのひとつの側面的な曲だったんで、今回はその真ん中をいくような、素直にバンド・サウンドだけで構築した曲がいいなと思ってて。リリース時期もちょうど夏ぐらいってことだったんで、〈夏に聴いて心地良いロックってどんなんかな?〉とか、そういうことを考えながら作ってましたね。それで、夏は分析しないで聴けるっていうか、ダイレクトに届くものが気持ち良いんじゃないかなあって。あとそこに、和風な雰囲気も入れたいなと。夏と言えば浴衣とか、花火とかね、そういうイメージは無意識にあったかもしれないです」(長谷川正、ベース)。

Plastic Tree 落花 CJビクター(2015)

 そんな、言わば〈長谷川流の夏ロック〉となった“落花”は、深みのある陰影を伴いながら流れるように疾走するバンド・サウンドと和装の旋律が絡み合う、どこか風雅さを湛えたメロディアス・チューン。そこに歌詞を誂えたのは有村竜太朗(ヴォーカル)だが、〈無下に咲いては 散り落ちし花〉〈然すれば このような愚行だって意味を持つ〉といったラインをはじめ、〈音〉からイメージを膨らませていったことが明確に感じられる古語遣いが、楽曲の風情を際立たせている。

  「スッと耳に入ってくる曲だったんで、歌詞もそういう感じで書きたいなと。ただ、和メロみたいな曲の特徴を歌詞に持ち込みたい、っていう方法論みたいなところでのテーマはあって、それで〈さてさて、何を書こうかな?〉と思いながらボーッと……ちょうど外で書いてて、夜明けぐらいのときだったんだけど、〈あっ、この状況をまんま書けばいいかな〉と思って(笑)、一回スッと書いたんですよね。そしたら半分ぐらい一気に書けちゃったから、今回はこういう感じでいまの状況説明と、そこでの自分の心境説明がサビに上手く繋がってくれたらいいのかなって」(有村)。

 気負わない状況で言葉が綴られたということは、〈空虚感 適切なの それ 歌にしてみてるの これ〉という冒頭の一節からも伝わってくる。ここで描かれているのは、さながら〈ポジティヴな諸行無常〉とでも言うべきもの。有村がこれまでに重ねて言及してきた彼らしい題材だ。

 「俺はたぶん、歌詞では基本的におんなじことしか書いてないから、今回もそのベーシックなところで言いたいことだったり、曲に持ち込みたい感情だったりを書いてて。あとになって〈なんでこういう歌詞がハマったのかな?〉って考えてみたら、〈そもそも結構、これの繰り返しだからなー〉っていうところに辿り着いたんですよね(笑)。なんか、〈こういうことを日々繰り返して過ごしてるんですけど、まあ、明日もよろしくお願いします〉みたいな気持ちになったっていう(笑)。だから、決してネガティヴなことを歌ってるわけではなくて、どっちかっていうとポジティヴ。日々が代謝していくことを傍観しているような歌ですね」(有村)。

 今回も4形態でのリリースだが、共通のカップリングに収められたのはナカヤマアキラ(ギター)と佐藤ケンケン(ドラムス)コンビによる“感傷ダイアリー”。よりグルーヴィーに、エッジーに加速する同曲の先には、長谷川いわく「当日は妙な一体感があって、みんながもう、可愛らしく思えるぐらいでした(笑)」という、今年5月に行われた初の男子限定ライヴ〈Boys Don't Cry〉の映像/音源も。失速することなく突き進むそうした構成も、彼らの〈バンド感〉を伝える一助となっている。

  「バランスを取ることは考えてなくて。ライヴの音源もアッパーな曲が多いので、ラストに向けてなお元気っていう(笑)。こういうシングルも珍しいなって思いますね」(有村)。

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