TGTのブレイク効果や映画俳優としての人気も背景にあったのだろうが、それにしても全米1位獲得の報に驚かせてくれたタイリースのニュー・アルバム。ただ、そんな成績よりも独自の歌唱表現のディープな追求そのものが素晴らしいのは言わずもがな。前作『Open Invitation』(2011年)でガッチリ組んだB.A.M.を引き続き参謀に迎え、ハーヴィ・メイソンJrが全曲でヴォーカル・プロデュースを担当。特別な派手さはないもののドラマティックな歌世界をじっくりと情熱的に磨き上げ、マーヴィン・ゲイ風のフレージングも快い“Picture Perfect”など、伝統性も纏いながらモダンなスマートさで聴き手を酔わせてくれる。その極みは、ジェニファー・ハドソンのコーラスも効いた激ソウルフルな悔恨ソング“Shame”。喝采!