INTERVIEW

クァンティック・プレゼンツ・ザ・ウェスタン・トランシエント、ジャズを讃えたレトロかつモダンな新作のこだわり

クァンティック・プレゼンツ・ザ・ウェスタン・トランシエント、ジャズを讃えたレトロかつモダンな新作のこだわり

新プロジェクトのコンセプトは“インストゥルメンタル・ジャズを讃える”こと!

 クァンティックが、なにやらまた新しいプロジェクトを始動させている。UK出身の先鋭的なトラックメイカーとして確固たる地位を築いたウィル・ホランドは、2007年に南米コロンビアを拠点にしたことでコンボ・バルバロを結成。そこでディープなラテンやカリビアンに肉薄した作品を多数生み出してきた。しかし、意外なことに昨年米国に移住。そこで新たに立ち上げたのが、ザ・ウエスタン・トランシエントである。

 「コンセプトは“インストゥルメンタル・ジャズを讃える”こと。60年代後半から70年代半ばのジャズに見られるスピリチュアリズムや、シンセサイザーとのコンビネーションとか、そういう音楽がこのレコードを作るにあたってのアイディアだったんだ」

QUANTIC PRESENTS THE WESTERN TRANSIENT A New Constellation Tru Thoughts/BEAT(2015)

 新名義で発表されたアルバム『ア・ニュー・コンステレーション』は、ここ数年の本格的なラテン・アンサンブルやエレクトロニクスを取り入れた彼の作風を考えると、かなり異色の部類に入る。参加しているのは、クァンティック作品の常連パーカッション奏者ウィルソン・ビベロスや、フライング・ロータスなどとの共演で脚光を浴びるキーボード奏者のブランドン・コールマンを筆頭に、ミシェル・ンデゲオチェロにも評価されているベースのゲイブ・ノエルビルド・アン・アークのメンバーでもあるパーカッション奏者アラン・ライトナーなど、主に西海岸を拠点にする旬のミュージシャンたち。彼らを中心に、基本的には一発録りで生演奏のグルーヴを大切にしたセッションを繰り広げていく様子はとても新鮮だ。

 「コンピュータで曲を作ったり、プログラムされたビートやサンプル・ビートを生み出すことは簡単だけれど、今回は全然違った。曲を書いてスタジオに行って、何をマイクで拾うかを決めて、レコーディングから何を捉えるかを考えて、アレンジして、バンドに来てもらって、みんなでそれぞれ何をしたいかを話し合って…。これまでとは異なる経験だったね」

 こう語る通り、たんに生演奏を録音したという単純な作品ではない。マイキングにもこだわり、質感や空気感といった要素も大切にすることで、見事なまでに人間味が浮き上がるような生々しい録音になっている。そして、往年のジャズを思わせるレトロな雰囲気を持ちながら、どこかモダンな感性に包まれているのがクァンティックならではの味わいだ。そしてその感覚こそ、アメリカから発信する特色なのだろう。

 「今すぐイギリスに戻ろうとは思っていないよ。少なくともあと2、3年はニューヨークに住みたいね。コロンビアのボゴタからも5時間だし、イギリスにも6時間で行けるから、どこに行くにも便利なんだ」

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