Photo by Kishi Yamamoto

ポストパンク/UKダブの時代を超越する名盤がボートラ4曲を収録、新たな解説を封入してリイシュー!

 神聖なる異端集団。後追いの筆者は高校最後の夏に本盤と出会ったが、本盤に集結した自身のヒーロー達が筆者を出会わせたのか。ロック/ポストパンク文脈、レゲエ/ダブ文脈の各々の方面からアクセス可能な人類必聴名盤。同じく1981年作であるスリッツの2ndアルバム『Return Of The Giant Slits』と共に愛聴しながら登校してた夏。日本の夏。蝉よりダブる、あの夏。

 時はパンク/ニューウェイブが燃える70年代後半のロンドンと、同志としてレベル・ミュージックを掲げるレゲエ・ミュージシャン達との深遠なる蜜月。UKポストパンク/アヴァンギャルド/ダブ鬼才:エイドリアン・シャーウッドのロンドン・アンダーグラウンドの仲間達であるポップ・グループ、スリッツ、フライング・リザーズ、レインコーツのメンバーを集め、ルーツ・ラディックスのスタイル・スコット、クリエイション・レベルのクルーシャル・トニー、アスワドのジョージ・オーバンらと先鋭的ダブ・サウンズを探求したニュー・エイジ・ステッパーズのデビュー作。

NEW AGE STEPPERS 『New Age Steppers』 On-U(2025)

 ポストパンクとダブが融合した強烈なサウンドが魅力な本盤は、エイドリアン・シャーウッド主宰〈On-U Sound〉の記念すべき第一弾作品。愛しく狂おしいアリ・アップの声は警告とラヴァーズ・ロックを、冷ややかに狂おしいマーク・スチュワートの声とクリエイティビティは鋭さを響かせている。ポストパンク、ニューウェイヴ、レゲエ、ダブ、フリージャズ、アヴァンギャルド、実験音楽の贅肉部をさらに削ぎスカスカでも強固な骨となった渾然一体の奇妙なノイズやリズムの端々は、当時の〈Industrial Records〉の実験的サウンドスケープにも接近している。

 ジャンルやカテゴリー、国籍や人種を超えた前人未踏の本盤は、現在/未来でもその革新性は評価され続けるだろう。夏がくるように。そして筆者にもダブる、あの夏。ええやんええやん。