昨年オンラインに放流した“Don't”で名を売った、ルイヴィル出身のシンガー・ソングライター。マライア・キャリー“Shake It Off”をトロ~リと引き延ばした同曲は(初期の)ウィークエンドにも通じる陶酔感と共に主役のラップめいた歌唱をプレゼンする好材料となったが、このアルバムでもその印象は変わらない。サム・クック風に朗々と歌うイントロを過ぎれば、アリーヤKP&エンヴィジョデシィシャイキース・スウェットらの90年代ヒットをシロップ漬けにして敷き詰め、甘い歌い口の耽美なベッドルームR&Bが快楽主義的に垂れ流されていく。その良い意味での融解感はティンバランドの助力もあまり意味をなさないほど。終曲でのサブモーション・オーケストラ使いも巧みな、いま聴いてナンボの一枚!