〈アフターアワーズ〉の次は〈夜明け〉と題したFMラジオ仕立てのコンセプト・アルバム。サウンドは完全に80年代モードで、亜蘭知子の83年曲を引用して話題を呼んだ“Out Of Time”やマイケル感全開の“Sacrifice”など、音だけなら軽妙でメロディアスで聴きやすさ満点。だが、どこか痛々しいラヴソングや死生観の織り込みなどウィークエンドらしい美学を意識すると、フレッシュなリヴァイヴァルとしての80年代でなく、虚像や空騒ぎの80年代テイストへと印象が変わるから不思議だ。恋に落ちる様子を美しいファルセットで歌うが、タイラー・ザ・クリエイターがダミ声で婚前契約を迫って台無しにするR&B“Here We Go... Again”をはじめ、毒気と悪趣味もある意味楽しい。夜明けの次は何でしょうね。