ジャネット・ジャクソン待望の来日公演が、11月19日にインテックス大阪で幕を開けた。ニュー・アルバムに関してほとんどコメントを発しないジャネットに代わり、プロデューサーのジャム&ルイスは「アルバムのテーマは対話であり、彼女がいま何を考え、どういう想いを抱いているかを知るには、この作品を聴くしかない」と語っているが、まさにジャネットと日本のファンとの直接の対話の場とも言えるこの来日公演。
日本でのショーは2002年のワールド・ツアー以来、約14年ぶり。さらに90年代の黄金時代のプロデューサー、ジャム&ルイスと9年ぶりにタッグを組んだアルバム『Unbreakable』は、期待通りジャネットらしい楽曲揃いと絶賛され、見事に全米アルバム・チャートで初登場1位を記録。それもあってか、会場には往年の熱心なファンだけでなく、親と一緒に来たティーンや、ジャネット風ファッションに身を包んだ20~30 代の女性など、幅広いファンで埋め尽くされた。
「『Unbreakable』は長年にわたり彼女をサポートし続けているファンへの贈り物」とジャム&ルイスが語る通り、会場に併設された〈My Music VIPミュージアム〉と題されたスペースには、ジャネットのステージ衣裳や数々のアワードのトロフィー、さらにプライベート写真も展示され、さながらファンのためのお祭りのような雰囲気を醸し出している。また、ジャネットの粋な計らいで来場客全員に花がプレゼントされるなど、今回の来日公演がジャネットにとっても特別に思い入れのある公演であることが感じられる。
お祭りはショーに関しても言えることで、ファンが望んでいる、あるいは、それ以上のヒット曲のオンパレードとなった。オープニングDJがジャネットやマイケル・ジャクソンの曲を織り交ぜながら客席を温めた後、会場が暗転。ステージに吊るされた幕にジャネットがシルエットで登場すると、会場は歓声の渦に。
幕が上がり、黒のレザーの衣装に身を包んだジャネットが登場し、最新シングル“Burnitup!”に突入。ショーの前半は、80年代の『Control』や『Rhythm Nation 1814』からのヒット曲を中心に怒涛のダンス攻勢。曲の合間に「オオキニ、オオサカ!」と関西弁も披露し、まったくブランクを感じさせないダンス・パフォーマンスを披露。同じく黒の衣裳を身にまとった7人の女性ダンサーと2人のキュートなキッズ・ダンサーが華麗なステップを踏み、ジャネットとのコンビネーションも完璧だ。
中盤はバラード中心の構成。ジャネットの吐息までも聞こえそうなほど艶めかしい新曲“No Sleeep”や、名作『Janet.』から8週全米1位を獲得した“That’s The Way Love Goes”などを次々に熱唱。その後、全米1位を獲得した“Black Cat”の歪んだギターが大音量で鳴り響くと客席は再び絶叫。さらに亡き兄マイケルとのコラボ曲“Scream”、そして“Rhythm Nation”を披露し、ライヴは大熱狂のうちに幕を閉じた。
約1時間半/全33曲をほぼノンストップで歌い、踊りきったジャネット・ジャクソン。ショーの中での言葉こそ少ないものの、彼女のキャリアが凝縮された圧倒的なパフォーマンスで、改めてその存在の大きさを見せつけてくれた。11月21日(土)、22日(日)には、年内のワールド・ツアーの締めくくりとして、さいたまスーパーアリーナでいよいよ公演が行われる。