日本独自企画盤『ジャネット・ジャクソン ジャパニーズ・シングル・コレクション -グレイテスト・ヒッツ-』が2022年8月24日(水)にリリースされる。ジャネット・ジャクソンといえば今年、ドキュメンタリー作品「ジャネット・ジャクソン 私の全て」が日米で話題になり、リリース予定の新作にも期待が寄せられている。そんななかで発表される本作(CD 2枚に38曲、DVD 1枚に44曲のミュージックビデオを収録)は、ジャネットの圧倒的才能とそのアクチュアルな表現を改めて堪能するのに最適だ。本作のリリースに合わせたこの記事では、彼女の表現が現在進行形である理由――現代のフェミニズムやLGBTQコミュニティーとの関係、MVでのダンスやビジュアル表現における先駆性・先見性について、音楽ジャーナリストの高橋芳朗に解説してもらった。 *Mikiki編集部

JANET JACKSON 『ジャネット・ジャクソン ジャパニーズ・シングル・コレクション -グレイテスト・ヒッツ-』 ユニバーサル(2022)

 

フェミニズムの潮流で再び脚光を浴びたメッセージソング

ジャネット・ジャクソンが82年のデビューから40周年を迎える今年、その偉大な足跡を振り返るにあたって絶好のガイドとなるのが日本盤シングル38曲とミュージックビデオ44曲を収めた国内独自企画のコンピレーション『ジャネット・ジャクソン ジャパニーズ・シングル・コレクション -グレイテスト・ヒッツ-』だ。86年リリースのサードアルバム『Control』で文字通りクリエイティブコントロールを手中にして以降、カッティングエッジなサウンドに乗せて社会的/政治的メッセージを主張してきたジャネットの本領は、シングル曲を追っていくだけでも十分に堪能できる。

そんな『ジャパニーズ・シングル・コレクション』から現代的な観点でジャネットの重要作をピックアップするならば、やはり真っ先に挙がるのはデビュー以来マネージャーを務めていた父ジョー・ジャクソンの管理下からの自立を歌った“Control”(86年)、そして自らが体験したストリートハラスメント(ナンパや痴漢、性的な発言、相手を侮辱するような言葉など、公的な場におけるあらゆるハラスメント行為)に着想を得た“Nasty”(86年)の2曲。

前者の“Control”は〈シスターフッドムービー〉と謳われた2019年公開の映画「ハスラーズ」の実質的なテーマ曲として、後者の“Nasty”は2016年のアメリカ大統領選におけるドナルド・トランプの女性蔑視発言に対するプロテストソングとして、共に〈#MeToo〉ムーブメント以降の新しいフェミニズムの潮流のなかで再び脚光を浴びた経緯がある。

『ジャネット・ジャクソン ジャパニーズ・シングル・コレクション -グレイテスト・ヒッツ-』収録曲“Control”“Nasty”

こうした彼女の普遍的なメッセージは、貧困や虐待に苦しむ子供たちを憂う内容がマーヴィン・ゲイ“Save The Children”を彷彿させる“State Of The World”(91年。日本公演も実現した2017年~2019年のジャネットのコンサートツアーのタイトルは〈State Of The World Tour〉だった)、エイズで亡くなった友人へのトリビュートとして作られた背景からのちにLGBTQコミュニティーでアンセム化する“Together Again”(97年)などからも聴き取れるはずだ。

『ジャネット・ジャクソン ジャパニーズ・シングル・コレクション -グレイテスト・ヒッツ-』収録曲 “State Of The World”“Together Again”