インタビュー

SCOOBIE DO、20周年イヤーを振り返りつつステージでこそ輝く〈実弾〉込めた全現場対応型の新アルバム『アウェイ』を語る

SCOOBIE DO、20周年イヤーを振り返りつつステージでこそ輝く〈実弾〉込めた全現場対応型の新アルバム『アウェイ』を語る

昨年はベスト・アルバムのリリースや東京・日比谷野外大音楽堂でのワンマン公演(ソールドアウト!)などをハイライトに、結成20周年のアニヴァーサリー・イヤーを大いに盛り上げ、みずからもエンジョイした〈FUNKY 4〉ことSCOOBIE DOの面々。4人のマインドには当然の如く例年にない〈充実感〉があったはずですが、野音公演直後からレコーディングに入ったというニュー・アルバム『アウェイ』を聴く限り、そこに浸っているような悠長さはまったくナシ!

キャリアに裏付けられた自信と、自分たちの音楽を愛してくれる人たちへの愛情をたっぷりと詰め込んだこのアルバムは、新たなチャレンジを試みつつも、どこを切ってもSCOOBIE DO。21年目の始まりを勇ましく告げるアルバムなのだ!……というわけで、当バンドのリーダーでありギターのマツキタイジロウと、ヴォーカルのコヤマシュウにさっそく話を訊いてみましたぞ!

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SCOOBIE DO アウェイ CHAMP(2016)


野音でゴールっていう気持ちにはならなかった

――昨年は結成20周年イヤーということで、やはり祝祭ムードを感じながらの1年でしたかね?

マツキタイジロウ「20周年です!って自分たちで言ってきたしね。言い続けていってそういう雰囲気にしていったところはありますよ」

コヤマシュウ「とにかく野音に人を呼ぼうってことでね」

――ライヴ本数も久々に80本を超えたそうで、なんだかんだトピックも多くて忙しかったんじゃないかと。

マツキ「よく働きましたね。でも、野音のワンマンこそ決まってはいたものの、年明けのあたりでは下半期の予定もそんなに決まってなかったんですよ。で、なんかやろうぜってみんなをけしかけて、7月に〈生誕祭〉(〈野音への道・マツキタイジロウ生誕40周年記念スペシャル~小田原編〉。マツキの地元での公演)をやったり、18年ぶりにU.F.O. CLUB(東京・東高円寺)でやったり、GRAPEFRUIT MOON(東京・三軒茶屋)でアコースティック・ライヴをやったり、普段ではやらないスタイルでのワンマンをいくつかやって。あと、渋谷のクアトロ(CLUB QUATTRO)でスカパラZAZEN BOYSBRAHMANの3組とマンスリーでツーマンをやったり、そこを野音に向けてのストーリーとして持っていった感じで」

――野音だけがハイライトっていう感じではなかったですね。

マツキ「そう。大事に大事にとっておいて、〈いざ野音ですべてを出し切ります〉という感じではなくて、テッパンのセットリストをただただやるぞっていう、野音はそういう気持ちで臨んだところもあって。ハードなスケジュールでやっているから大変だったんだけど、ライヴの手応えも、野音が大成功で終わったのも、そこが良かったのかなあと思うんですよ」

コヤマ「ワンマンなりツーマンなりでいつもの俺らとは違った姿を見せるっていうのもあったんだけど、これまで行っていなかったところとかね、初めてのところにも出ていったんですよね。20年もやってるんだけど、初めて俺らのステージを観る人の前でやることが多かったわけで。だから、20周年で野音というのはひとつの区切りではあるんだけど、集大成でもねえなっていうか、まだまだこれからだな、という感じになってましたね」

――ホント、いわゆる〈通過点〉っていう感じで。

コヤマ「うん、これまで埋めたことがないキャパの会場というのはチャレンジだし、なおかつ集大成的なライヴになるんだろうなっていうイメージだったんだけど、あんまりそういう感じじゃなくなってきたというか。新曲も絶対やろうと思っていたし、ニュー・アルバムの曲も詰めていたので、その先のことをどうしようかって考えながら野音に向かっていた部分があった。だから野音でゴールっていう気持ちにはならなかったですね」

日比谷野音公演より

 

――とはいえ、野音のワンマンは素晴らしいステージでした。

マツキ「でも最初のモチヴェーションとしては、20周年で野音ワンマンをやろうという感じではなかったんですよね。自分らから〈20周年です〉と言ってお祝いしてもらうのはどうなのかなあっていうのがあったんだけど、周りのスタッフやイヴェンターさんたちみんなから〈やったほうがイイよ〉って言われて。句読点打っていくというか、20年で自分たちはこういうことをやりました、ああいうことしましたってチャレンジしていかないと、〈この人たち、昔っからいるよね〉というだけのバンドになっちゃうからと。そうなってもこちらはイイっちゃイイんですけど、俺らを好きでいてくれる人がそうなっていくバンドを見るのはあんまり良くねえだろうなと思ったんですよね。俺らとしても、独立した時点でマイペースというか、自分らのペースでやっていくという道を選んでるんだけど、俺らのことを応援してくれる人、いつもライヴに来てくれる人に、ちょっとイイところを見せたいなという気持ちになったので、じゃあやろうと。野音はどう見てもチャレンジ……ワンマンで3000人も入れたことないしね」

新作『アウェイ』と同時にリリースされる、昨年の日比谷野音公演を納めたDVD「FILM DANCEHALL YAON」トレイラー映像

 

――2006年の野音ワンマンは?

マツキ「売り切ってないですから」

コヤマ「だから、恩返しじゃないですけど、それに近い意味もあったんですよね。それに、前にやったときは埋まらなかったけど、良いライヴをやったなっていう手応えはあったんですよ。RHYMESTERSOIL &“PIMP”SESSIONS高野勲さん、中野タイジくんとかも参加してくれてね、良いライヴだったなあと。あの時は事務所もメジャーのレーベルも契約がなくなることが決まっていて、じゃあバンド辞めるかっていったら、そうじゃねえっていう気持ちもあったし、次やるときはなんとしても埋めなきゃと」

マツキ「最近仲良くなったイナズマ戦隊のメンバーも観に来てくれていたんですけど、11月に神戸で対バンした時に、打ち上げでギターの(山田)武郎くんが〈本当に羨ましいと思って観てました〉って。それで〈いやいや、キミらもできるじゃん〉と言ったら、〈SCOOBIE DOのファンはSCOOBIE DOのことを応援している自分をすごく誇りに思っているのを客席で観てて感じた〉と言うんですよね。そういう話を聞くことってなかなかないから、すごく嬉しい意見だった。20年やってきて〈ファンと俺ら〉っていう、それだけの関係なのかもしれないけど、なんかいつからかそういう関係になってるんだな、これはがんばんなきゃいけねえなっていう気持ちになりましたね」

SCOOBIE DO FILM DANCEHALL YAON CHAMP(2016)

 

ステージに上がって、鳴らして、歌った時に確実に響くもの

――いろいろと噛み締めることがあった20周年イヤーですけど、それを経てのニュー・アルバム『アウェイ』。まず、自分たちでは出来上がってどういう感触のアルバムになったと思いますか?

マツキ「そうだなあ……俺のなかでは〈全現場対応型のアルバム〉っていうかな、ライヴのために作った曲がいままででいちばん入ってる。お客さんと面と向かい合った時に共有し合える価値観というか、空気感というか、そういうのがこれまでのなかでいちばん濃くて、それ以外の余計なものを入れずに作られた曲が入っている感じですね」

――そういった作風は、20周年イヤーの動きと繋がるところはありますか?

マツキ「最初はちょっとひよっていたんですよ、ベスト盤(『4×20 ~20 YEARS ALL TIME BEST』)も出しちゃったし、野音の後に出すアルバムはどういうものにしたらいいんだろうと。それで、(2015年の)年明け早々にみんなと話し合って。まあそれぞれが漠然とした感じだったんですけど、ただ、シュウくんは“LIVE CHAMP”という曲はあったほうがいいって言っていたんですよ」

――『LIVE CHAMP』というライヴのベスト盤もあるし、MCでもしょっちゅう言い放っているフレーズですよね。

マツキ「そうそう。ライヴ・ベストは出しているけど、曲はないなと思って、その他の曲もなんとなくそこから繋がっていったんですよね。なんにしても、みんなライヴの現場に意識が向かっているんだなというのが、シュウくんだけじゃなくMOBYからも(ナガイケ)ジョーからも受け取れたところもあったから。そういう意味で、今回は極端に言うと、作品作りというより〈実弾作り〉というかね、そういう〈武器になるもの〉を作るイメージでしたね。いろんな感情の機微とかメロウ感とかそういうのはいったん置いておいて、ステージに俺たちが上がって、鳴らして、歌った時に確実に響くものをめざさないと、と思った。それで一緒に歌えて乗れて、わかりやすく楽しめるもの」

――サウンド的にはいつも以上にいつものSCOOBIE DOではあるけど、音のなかにさりげなくトピックを盛り込んでいますよね。“アウェイ”のギター・ソロとか……って、細かいところを突きますが(笑)、それ以前にこの曲はいま流行のディスコ・ファンクを意識して作ったと思われる曲ですよね。

マツキ「60sスタイルだけにこだわらず80年代っぽいスタイルをやってもいいと思うし、何をやってもSCOOBIE DOになると思ってるから、わりと最初からこういうアレンジが出てきましたね。それに、SCOOBIE DOは4人の生音で勝負するバンド。ピコピコする音を同期させてモダンにやってみようという手はなくて、まずは人力でやってみようっていうのが、どんな曲を作ってもブレないんですね。ディスコにしても俺らのディスコになるだろうし、何かを採り入れても借り物にならない感じがイイなって思っているんですけどね」

――“Na Na Na Na Na”でも、〈ひとりじゃ出来ない気持ち歌いたい〉って歌ってますもんね。

マツキ「そうですね」

――そしてもうひとつトピックと言えば、リーダーのラップをフィーチャーした“ファンキー獣道”。これは小田原での〈生誕祭〉のために書いた曲でしたよね?

マツキ「自分もその時限りのものというつもりで作ったんだけど、せっかく作ったんだから入れたほうがイイよって声もあって」

――今回のアルバムだから入れられたところもあるんですかね。サウンドの傾向以前に〈ステージに上がって、鳴らして、歌った時に確実に響く〉というアルバムのテーマが、この曲の間口を設けたというか。

マツキ「そうですね。音に関してはいつもよりはしゃいでいる感じを抑えて、むしろオトナっぽい感じで、年相応なムードを出したいというところもありましたからね。かと言って無理矢理オトナっぽくするわけでもないし、ヘンにわかりやすくするわけでもないし、40歳になったいまの自分のムードと、SCOOBIE DOというバンドのテンションも踏まえた素直なアダルトさっていう。取り立ててアッパーで速い曲もないけど、しっとりしすぎてもいない、そのへんのいい塩梅がいまいちばん出したいなあと」

――作り方はこれまでと多少違っていたりするんですか?

マツキ「前作の『結晶』までは俺が作った完成形に近いデモでイメージをみんなに伝えて、そこに寄せていくという制作スタイルだったんですけど、今回はアダルトな感じがイイなと思ったので、弾き語りの段階でデモを渡して、ある程度自分のイメージはあるんだけど、そこは抑えながらみんなから出てくるアイデアをこれまで以上に採り入れたいなと思ったんですよね。だから、特徴がいろいろあるというか、ディスコっぽい曲もあるし、フォークやサンバみたいなものもあって。〈SCOOBIE DOはこうなんです〉と何回も言い続けない感じというか、SCOOBIE DOはこんな感じのバンドだけど、幅広いタイプの曲でみんなを楽しませるという伝え方ができたらいいなあと思ったんですよね」

――サウンド的にはいろいろ盛り込まれていますけど、歌詞に関してはいつもMCで言ってる〈おまえらのファンキーな味方だぜ〉っていうスローガンに基づいたメッセージをすべての曲から受け取ることができます。ここまで〈言いたいこと〉が一貫しているアルバムも、過去にはなかったんじゃないかと思いますが。

マツキ「なかったでしょうね。そんな感じに持っていくべきだなというところで、今回は結構シュウくんと一緒に詞を書いてるんですよ。基本的にはいつも俺なんですけど、前作の“新しい夜明け”をシュウくんと一緒に作って、そのやり方がすごく良かったから」

コヤマ「言葉として、歌詞としていいものでも、歌ってみると意外に響かなかったり、単純に聞こえづらいものとか、字面だけ見ると意味も通ってるし、韻も踏んでるんだけど、〈あ、意外とこねえな〉というのがあるんですよ。そういうことを2人で確認しながら書いていく作業が多かったかな」

マツキ「そういうことも含めて人力感なんですよね。わりといま……いまっていう言い方をしちゃうと良くないけれども、たくさん言葉が詰め込まれていて、一聴では何を言っているのかわからないけど、歌詞カードを読むとめちゃくちゃいいこと言ってるなっていう曲がいっぱいあるじゃないですか。でも、それをスクービーがやったらダメじゃねえかなと。人力で勝負したいと言っているのは、自分が弾いたギターで目の前の人を踊らせること、つまり目に見えることがやりたいわけだから、字面でどんなにいいことを言っていても、何を言っているかその場でわからなければ意味がない。だから、聴き取りやすい言葉で紡いでいきたいし、譜割りも聴き取りやすいテンポにしたいし、そういう意味でSCOOBIE DOは物凄く原始的なスタイルのバンドだと思うんですよね」

コヤマ「うん、そう思う」

――肌でいちいち感じながら作りたいと。いまの流行歌はそういう感覚で作られたものじゃないほうが多いし、そのほうが良くも悪くも刺激的だったりする。

マツキ「派手に聴こえるしね。だから逆に、流行らないかもしれないけど、このスタイルでやってて良かったなと。流行ってる音楽は流行ってる音楽で大事だし、でも、SCOOBIE DOの音楽は俺たちにとって大事なものだということを、このアルバムを作って確信したところはあります。〈好きなんだな、こういうの〉と改めて感じたというか、流行ろうが流行るまいが、まずは自分たちが気持ちを込めて、人力で相手に伝えられるかどうか、やりたいことはそれなんだなと。野音を終えてこのアルバムのレコーディングをしながら、そう感じましたね」

――ところで、今回のアルバムでもっとも意表を突いたのはジャケットですね。そこに込めた意味を知らずに画だけ見れば、これまでのSCOOBIE DOにはなかったイメージで。

マツキシティー・ポップですよね。でもまあ、シティー・ポップ感というよりは〈アウェイ感〉を忍ばせたくって。都会のなかの孤独というか、自分VS他の世界という心象風景みたいなものをこういう画で表してみました。あとは雑食感って言うんですかね。『かんぺきな未完成品』(2013年)、『結晶』(2014年)あたりだと、60年代っぽいとか、ロック・バンドとしての自分らのテイストを押し出す感じだったんですけど、今回はそういうことではなく、もう少し同時代感が欲しいなあと。そういう時代感を無理矢理ではない形で入れられるだけ入れたい。曲も、あえて古臭く作っているものはないし、聴いて懐かしいなというものにはしたくなかった。それも含めて、ジャケットもいまの温度感みたいなものを反映させたかったんですよね」

2014年作『結晶』収録曲“結晶”

 

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