異能のSSW・北村早樹子、プロデューサーに中村宗一郎起用しバンド編成の明るい楽曲揃えたことで過剰な猥雑さ際立った5作目

2016.03.11

3年振りとなる新作は、中村宗一郎をプロデューサーに迎えたバンドアレンジによる新境地。歌詞にするのを憚れる様な言葉や露骨な性的表現を使い、社会からさも無いものと蓋をされた嘘くささを暴かんとタブーに切り込むその歌は、どれも人間の性、本質を取り上げており、歌を作る事、歌う事の意味を強烈に叩きつけられる。アルバムの最後を締め括る、森下くるみが作詞を手掛けた《みずいろ》は北村自身を客観的に描いており、北村と歌の必然的な関係を平易な言葉で説得力を持って届けられる。少女性と諦観を綯交ぜにした様な唯一無二の歌声と、ソングライターとしての才能が迸る本物の歌を収めている。


TV番組「アウト×デラックス」への出演により知名度を高めた異能のシンガー・ソングライターが5作目を発表。サウンド・プロデューサーに中村宗一郎を起用し、バンド編成による楽曲を詰め込んだところが本作の売りだが、ポップなサウンド・メイキングによって明るさが増したことで毒や棘が逆にささくれ立ち、過剰な猥雑さが際立つ結果に。感傷的なムードを湛えた“卵のエチュード”のあまりの美しさに思わず涙。

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