宮下奈都の長編小説「羊と鋼の森」は、新人ピアノ調律師を軸にたおやかな筆致ながら些細な響き拾い上げてその深奥に切り込む

2016.02.23

ピアノは生き物である。100キロ近い張力の220本の鋼で出来たこの楽器は、綿々刻々と状況を変えていく。ホールの照明、客の有無、椅子の素材、そしてピアニストの技術…調律師は素材の良さを引き出す料理人に通じる。必ず濁る平均律で調和を求めるのは永遠の迷宮。他に24カ所の調整やフェルトハンマーの針刺しは音づくりそのもの。新人調律師、個性的な先輩調律師たち、初々しい高校生ピアニストのふたごを軸に、筆致は終始たおやかだが、些細な響きを拾い上げ、その深奥に切り込むところはさすが。最近話題の調律師コミック『ピアノのムシ』、ドキュメンタリー映画『ピアノマニア』もどうぞ!

映画「ピアノマニア」予告編
関連アーティスト
TOWER DOORS