原作コミック「BLUE GIANT」連載開始時からの担当編集者で、映画版では脚本を務めたNUMBER 8(南波永人)による初の書下ろし小説。漫画・映画で描かれないエピソードを含む、沢辺雪祈の赤子時代から物語は始まる。映画館で観た彼らの姿や音と、我々が知り得なかった雪祈の思いが、波のように交互にやってくる。彼の孤独な心の中にはいつも賢太郎やアオイちゃんがいて、大と玉田と出会って今度こそ仲間を、仲間と自分の夢を、失うまいと、必死にもがいていたのだなと。もう一度映画を観たくなったし、その時はもっと雪祈の繊細さに寄り添える気がする。ジャズを聴く人も聴かない人も、赤よりも熱い彼の〈青〉にふれてみてほしいです。