本書は一般的なアーティストの伝記や記録を遡るアーカイブスではない。主役は、日本のミュージックシーンを常に牽引してきた細野晴臣氏とその時代時代を過ごしてきた7人の録音エンジニア達。彼らのインタヴューを基に、細野氏の音楽的思考の変遷や作品の位置づけ、制作当時の録音環境、参加するミュージシャンと関係性を紐解き、それぞれの作品に対する細野晴臣というアーティストの考え方、作品の創り方を浮き彫りにしていくドキュメンタリーだ。機材などの詳細な言及もあり、その手の知識がないと理解しにくい部分もあるが、7人のフィルターを通すことで、それぞれの作品やその音響への理解が深まってくる。
鈴木惣一朗が細野晴臣と録音エンジニアの語りを基に、細野作品の創り方を浮き彫りにするドキュメンタリー本「細野晴臣 録音術」
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