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The fin.に通じる質感のアクトたち

JAMIE XX In Colour XL/HOSTESS(2015)

世界中で絶賛された、XXの頭脳による初のソロ・アルバム。ジャングル~レゲエといった音楽的ヴォキャブラリーを広げつつも、サンプリング・ネタからヴォーカル・トラックに至るまで、しっかりと人肌の温もりを残した音楽性は、Yutoがこだわった〈テクスチャー〉とリンクする。 *上野

 

PURITY RING Another Eternity 4AD/HOSTESS(2015)

カナダの電子音楽デュオによる2作目。チルウェイヴからドリーム・ポップを繋ぐメロディーや、ジャケそのままに不思議な浮遊感を湛えたウワモノの心地良い響きは、ヴォーカルを女性に置き換えたThe fin.と呼んだら言いすぎか? 〈地球〉をモチーフに、統一感のある歌詞も素晴らしい。 *上野

 

D.A.N. EP P-VINE(2015)

〈ミニマル・メロウ〉を標榜し、特有の揺らぎを見せる音像の下にクラブ・ミュージック的なアプローチも敷いた作風で話題をさらう3人組。彼らが鳴らすどこか翳りを帯びたサイケ感/チル感はブリストル・サウンドを彷彿とさせるもので、アンニュイにたなびく歌には若さに似合わぬ色気が。 *土田

 

雨のパレード New generation スピードスター(2016)

電子パッドを重用するにつれて、バンド形態ながら〈バンド・サウンド〉から離れつつあるサウンドスケープと、楽曲の方向性を決定付けるフロントマンがブレーンとして存在する、という点でThe fin.と近しい4人組。アトモスフェリックな音響に情緒を忍ばせた質感も共通している。 *土田

 

WET Don't You Columbia(2016)

バンド名だけで選んだわけじゃありませんよ。NYの3人組による初作は、ダブステップ以降の空気をたっぷり含んだトラックに、インディーR&Bとも共振するシルキーな歌声が融け合う意欲作(ジャケは少しライっぽい)。代表曲の“Deadwater”はぜひThe fin.にカヴァーしてほしい! *上野

 

MMOTHS Luneworks Because/ritmo calentito(2016)

チルウェイヴ~ウィッチ・ハウス界隈から飛び出した、アイルランドはダブリンを拠点とする俊英の2作目。ボーズ・オブ・カナダの如き靄がかかったような音のレイヤーにXX以降のビート感覚を重ねた本作は、冷ややかなテクスチャーのなかに肉感的な温もりも。どこまでも儚い音像にうっとりする。 *土田

 

BIBIO A Mineral Love Warp/BEAT(2016)

〈サウンドスケープ職人〉の異名を取る(?)鬼才の最新作。サンプリングを排したオーガニックな音作りは奇しくもYutoの発言とシンクロするが、ゴティエオリヴィエ・セイント・ルイスらゲストを迎えて、より開かれたアルバムに。ビビオの〈原風景〉には、こんな音が似合うのだろう。 *上野