「ロッキー・ザ・ファイナル」のシリーズの見事な幕引きにボロボロに泣いた身としては、ロッキーのライバルで盟友のアポロの息子を主人公にした「ロッキー」のスピンオフが完成したと聞いて、できれば作ってほしくなかったと思ったのは事実である。しかし、そんな心配が杞憂であるどころか「ロッキー・ザ・ファイナル」すら超える、まっすぐで美しい傑作であったことには心底驚いた。脇に徹した老いたスタローンの素晴らしさ! ベタをベタに、しかし抑制のきいたトーンで盛り上げる弱冠29歳ライアン・クーグラーの演出の冴え。クライマックスで人は嗚咽する塊となる! これがアメリカ映画だ!