談志が生前頻繁に語った〈言葉のイリュージョン〉を最も強く意識し高座に反映させようとしている噺家こそが愛弟子、志らくだ。今回同時発売の2枚のCDに収録された話はいずれも古典として名高い噺であるが、いずれも志らく独自の演出、常識に囚われない(むしろ常識を覆すような!)語り口、意表を衝くサゲを堪能出来る内容で期待を裏切らない内容だ。マクラもふらずに一気呵成に志らく独自のイリュージョン落語世界に聴衆を引きずり込んで行く「文七元結」、師が亡くなって二か月後の高座で、志らくらしい師への追悼の思いを込めた毒気を含んだマクラが振られる「時そば」2席を収録したCDを特にお勧め。