テニスコーツ
ユニットとソロ、音楽に静かに耳を澄ませることの楽しさを教えてくれる2作品が到着!

テニスコーツ Music Exists Disc3 majikick(2016)

 さや植野隆司によるユニット、テニスコーツが自主レーベル=majikickの設立20周年を記念して昨年からスタートした〈Music Exists〉シリーズ。その最新作『Music Exists Disc3』は初めて共演者を迎えて制作された。相手は過去に2度アルバムを共作したスウェーデンのエレクトロニカ・ユニット、テープ。神戸のグッゲンハイム邸でレコーディングされた本作は、フォーキーで、ジャジーでもある濃密なアンサンブルから生まれた、美しく澄んだ結晶体のような音楽だ。柔らかな音響空間のなかで生楽器や電子楽器の音色が星のように瞬いている。

植野隆司 Ueno Action Basic Function(2016)

 また、同時期に植野のソロ作『Ueno Action』もリリース。こちらは、2006年から2008年まで彼が録り溜めていたデモ音源から103曲を4枚組のCDにまとめたもの。ほとんどがインストで、アイデアの断片やイメージのスナップショットみたいな曲だが、この段階で植野の個性がしっかりと刻み込まれていて聴き飽きない。どちらの作品も、音楽に静かに耳を澄ませることの楽しさを教えてくれる。