インタビュー

女子大生SSWラブリーサマーちゃん、この5年間の音楽的&精神的な〈思春期〉封じ込めたカラフルな初作『LSC』を語る

女子大生SSWラブリーサマーちゃん、この5年間の音楽的&精神的な〈思春期〉封じ込めたカラフルな初作『LSC』を語る

 バンドを組むためのデモとして制作した楽曲をSoundCloudにアップしはじめたのが2013年、高校3年生のとき。その後、メランコリックなギター・ポップに幼い恋の終わりを映した“あなたは煙草 私はシャボン”が多くのリミックスを呼び、さらにはtofubeats作品への客演や、宇宙ネコ子芳川よしのらとのコラボなどで知名度を高めてきたシンガー・ソングライターのラブリーサマーちゃんが、フル・アルバム『LSC』でメジャー・デビューを果たす。人生で初めて作った曲だという“月の光り方”から直近で書き下ろされた“僕らなら”まで、本作は、彼女のこの5年間の音楽的な、そして精神的な〈思春期〉をまるごと封じ込めた一枚となった。

ラブリーサマーちゃん LSC スピードスター(2016)

 「ここまでのターニング・ポイントというと、やっぱり“あなたは煙草 私はシャボン”ですね。この曲の力でネット上にいる音楽好きにラブリーサマーちゃんが広がって、私も自信がつきました。ちょうど私の人生のなかでいちばん大きい失恋をして、こんなにアップダウンの激しい気持ちを体験してるのに、形にしないともったいない!っていう現金な理由で書いた曲なんですけどね(笑)。でも、こうして全曲を振り返ってみると、細かいターニング・ポイントがたくさんあった感じもします。私、ちっちゃいものでもいいから、前回までの曲ではできなかったチャレンジをしようって、毎回、自分に課してきてたので」。

 その成果か、キャッチーなメロディーと甘く頼りなげな歌声といった一本の柱がありつつも、ラブサマちゃんの楽曲は曲ごとのカラーが大きく異なる。ウィーザー愛が爆発した初の英語詞曲“PART-TIME ROBOT”や、ライヴ&録音メンバーのハシダカズマ箱庭の室内楽)による〈THE オアシス〉なギター・ソロから一気にブリット・ポップ化したという“青い瞬きの途中で”といったシングル曲に始まり、好きな食べ物をひたすら連呼するチアフルなエレポップ、魚の目きっかけで恋心が走り出すガーリーなパワー・ポップ、11分超の幻想的なシューゲイザー……そんなカラフルな全12曲のなかでも苦労したナンバーは、泉まくらを客演に迎えた“202”だという。

 「いままでは、処女性みたいなものが自分のなかで大事な要素だと思ってて。高校3年生のときからラブリーサマーちゃんとして接してくれる人が増えたんですけど、その頃は男の人と手を繋いだこともなかったんですよ。〈男の人とまったく接点もないまま終わるんだろうな〉とかTwitterでも言ったりしていたときに支持されはじめたので、〈素朴で、性とかとはかけ離れたところにいる女の子〉というイメージが、人から好かれているラブサマちゃん像なのかなと思ってきたんですけど、実生活がだんだんそこからはみ出てきて。そういう部分を“202”では自然に出せて良かったなって思います。客演が入ることを想定してラップを作るっていうのも初めてのチャレンジでしたね。アレンジも、アーバン・チルな感じとか、シティー・ポップ風の方向に初めて行った曲で。あと泉まくらさんは、禁断の多数決さんとの“ちゅうとはんぱはやめて”を聴いて、〈客演することになったとき、相手のことを自分のなかで咀嚼して、消化して返してくれる方なんだな〉って、ビビッときてお願いしました。歌詞がアダルトな感じになったのは、泉まくらさんの存在もありますね」。

 当人いわく「ヴァラエティー・ショップみたいなアルバム」だという『LSC』。セルフ・タイトルとも言える表題が冠された本作は、ラブリーサマーちゃんという一人の女性の頼もしい成長の記録でもある。

 「“月の光り方”は高校2年生のときに作ったんですけど、昔の曲は、〈つらい、切ない、うわーん!〉で終わってる曲ばかりなんですよ。そこから〈でもそれじゃ終われない! ふざけんなよ!〉みたいなやけっぱちの強さが出てきてたかなって思います。例えば、“PART-TIME ROBOT”とか“青い瞬きの途中で”とか。でも、いちばん近々で作った“僕らなら”って曲ではもうやけっぱちな強さを超えて、〈覚悟〉みたいなものに変わってる気がしてて。私は生命力のある、しぶとい人が好きなんですね。〈やってやるぞ!〉みたいな心意気が見えると、こっちも生命力をもらえるじゃないですか。そういう覚悟が“僕らなら”を書いたときには自分にも宿ってたなと思って。それは、自分にとってとても嬉しい変化でした」。

 


ラブリーサマーちゃん
95年生まれ、東京出身の現役女子大生シンガー・ソングライター。2013年夏頃より宅録での音楽制作を開始し、SoundCloudに音源を投稿しはじめる。術ノ穴のコンピへの楽曲提供、芳川よしのや宇宙ネコ子とのコラボ音源の発表、tofubeats“ディスコの神様”へのコーラス参加などを経て、2015年9月に初のCD作品『ベッドルームの夢 e.p』を、11月にファースト・アルバム『#ラブリーミュージック』をリリース。2016年は4月から6月にかけて3か月連続シングル“LOVE§でしょ?”“PART-TIME ROBOT”“青い瞬きの途中で”を送り出し、9月には泉まくらを迎えた先行7インチ“202”を発表。このたびニュー・アルバム『LSC』(スピードスター)を11月2日にリリースした。

タグ
関連アーティスト
TOWER DOORS