マルチ・パーカッショニストのリーダー・アルバムは、ラテン/アフロ・キューバンを軸に多彩な音で遊ぶ!

 打楽器奏者(あえてこの言い方に当てはまる人)のリーダー・バンド、リーダー・アルバムにハズレなし。これは勝手な持論だが、自分の中では確実なものとなっている。中里たかし初のリーダー・アルバムもこの“確信”に漏れず、大当たり! 本気度満点で、血湧き肉踊りながらもどこかクールで現代的でハイ・センス。思わず何度も繰り返し聴いてしまって、もはや活字で伝える無力感に打ちひしがれてしまったほど。

中里たかし クランデスティナ TAMBORBEAT RECORDS(2016)

 中里たかしは、JAZZTRONIKKyoto Jazz MassiveFried PrideMala In Cuba Tourなどのサポートをはじめ、ドラマー(打楽器奏者)、芳垣安洋率いる無国籍打楽器集団、Orquesta Nadge! Nadge!のメンバーでもある。また彼はキューバを何度も訪れ、その打楽器スキルと音楽性を磨き続ける求道者。で、会って話などしてみると笑顔を絶やさぬナイスガイ! そういういろいろな経験や人間味もひっくるめての多彩さが、いろんな楽曲に色気と表情を注入しているのだろう。キューバを代表する打楽器奏者、カリスト・オビエド、NYラテン・ジャズ・シーンが誇るルイシート・キンテーロ、米サルサラテン・ジャズ・シーンのファースト・コールロベルト・キンテーロ、さらにオリ・サヴィルカール・ヴァンデン・ボッシェダビデ・ジョバンニーニと豪華な海外ゲスト陣も凄いが、それに負けない日本勢の器用で技術の高い演奏もまた見事。楽曲もサンテリアのバタが先導し、王道ラテン・ジャズ、アフロ・キューバン・フュージョン、アフロ・キューバン・ジャズ、バタmeetsクラブ・ミュージック、ブーガルーダンソーン、キューバン・カーニヴァルなどなど、もう何でも聴けちゃう。しかも、それが生楽器の極みと最新の構築手法との融合であったりもして手がつけられない。で、最後に残るのは、中里たかしのコンガ、バタ、ボンゴ、ティンバレス、シェケレの音色、リズムのカッコ良さだったりして。もう降参!