濃厚にしてマイペースな20年
96年の5月、岡村靖幸の作曲/プロデュースによるシングル“愛の才能”で鮮烈なデビューを飾った川本真琴。それから今回の『ふとしたことです』へと至るまでの彼女の20年を、リリース作品を軸に振り返ってみよう。
続けざまのシングル・ヒットを受けての初作『川本真琴』(97年)がミリオン・ヒットを記録して、順風満帆に滑り出した彼女。ただ、周囲の動きと創作の歩調が合わなかったのか次作『gobbledygook』(2001年)までは4年を要し、彼女はすぐにマイペースなインディペンデントの活動に移行している。リリース上のブランクを挿み、2006年にはもりばやしみほ、朝日美穂とのミホミホマコトでアルバムを、翌年にはTIGER FAKE FUR名義でのシングルを発表するなど断続的に活動を展開。沖山優司、久下惠生、荒川康伸の演奏を従えた2010年のサード・アルバム『音楽の世界へようこそ』(キャロル・ケイも演奏に参加!)以降はMY BEST!に所属し、創作ペースも緩やかに高めていくこととなるのだった。
2012年には写真家の佐内正史と共作したCD+写真集の『川本真琴 and 幽霊』、2013年にはmabunua制作のミニ・アルバム『願いがかわるまでに』を発表。人との関わりを創作の原動力とする姿勢は、この頃から増えはじめたソングライター仕事や外部コラボにも繋がり、竹達彩奈“春がキミを綺麗にした”(2013年)、ぱいぱいでか美“少年”(2014年)などを書いたほか、「美少女戦士セーラームーン」のトリビュート盤で歌唱したり、神聖かまってちゃんのシングル“フロントメモリー”にフィーチャーされてもいる。こうした動きから再評価の気運が高まった2014年には、初期2作のリイシューや13年ぶりのTV出演も実現し、改めてその魅力を広く知らしめることに。また、同年には三沢洋紀、植野隆司、池上加奈恵、澤部渡と川本真琴 with ゴロニャンずを結成。7インチをリリースしている。
その後はアニメ「コンクリート・レボルティオ~超人幻想~」(2015年)の挿入歌“あの素晴らしい愛をもう一度”が話題となり、今年に入ってからはカーネーションの“いつかここで会いましょう”にコーラスで参加。今回の『ふとしたことです』に先駆けては、川本真琴 with ゴロニャンず初のアルバム『川本真琴 with ゴロニャンず』も発表……と、活動は多岐に渡っている。もう20年、とはいえ、まだ20年。この先も彼女自身のペースで自由に歌い続けてほしい。 *轟ひろみ
川本真琴の作品を一部紹介。