没後10年、ファンキー・プレジデントのドキュメンタリーがソフト化!

 2006年のクリスマスにジェイムズ・ブラウンが天に召されて、まもなく10年が経つ。ここで紹介するのは、昨年の伝記映画「ジェームス・ブラウン~最高の魂を持つ男~」と同じくミック・ジャガーもプロデューサーに名を連ねた2014年のドキュメンタリー作品。米HBO製作でアレックス・ギブニーが監督を務めた「ミスター・ダイナマイト ファンクの帝王ジェームス・ブラウン」である。今年6月には日本でも劇場公開された重要な映像作品が、没後10年の節目にBD/DVD化された。

JAMES BROWN ミスター・ダイナマイト ファンクの帝王ジェームス・ブラウン ユニバーサル(2016)

 作品は不遇な少年時代から音楽シーンに〈帝王〉として君臨していく軌跡をシンプルに追ったもので、ライヴ・パフォーマンスから舞台裏まで貴重な映像で振り返りながら、ピー・ウィーフレッド・ウェズリーブーツィー・コリンズメイシオ・パーカーといったバンド・メンバー、チャックDパブリック・エナミー)らのインタヴューを交えて構成されている。クエストラヴルーツ)やジャズ・ベーシストのクリスチャン・マクブライドらが影響を語るコメンタリーも興味深い。ボーナス映像集も貴重で、まるでアフロビート状態な74年の「ソウル・トレイン」出演時の姿は必見だろう。

 

JAMES BROWN Get Down With James Brown: Live At The Apollo Volume IV Polydor/ユニバーサル(2016)

 そして、同じく没後10年の節目で実現したのが、2015年に配信され、今年4月の〈レコード・ストア・デイ〉にてLPリリースされていた蔵出しライヴ盤『Get Down With James Brown: Live At The Apollo Volume IV』のCD化! これは、かつて未発表ライヴ音源をコンパイルした『Motherlode』(88年)にて凄まじい演奏の“There It Is”だけが蔵出しされて以来、マニアの興奮をいたく煽ってきた72年9月のアポロ・シアター公演のフル音源。ここではダニー・レイのMCからJB'sリン・コリンズボビー・バードらのパフォーマンスまでJBレヴューの熱狂雷舞が丸ごと楽しめる。JBの歌唱曲は多くないものの、熟練の技量でソウルフルとファンキーの何たるかを示したパフォーマンスは圧巻そのものだ。必聴!