サム・スミスやロバート・グラスパーらが賛辞を送るシンガー・ソングライター、ジョーダン・ラカイ(Jordan Rakei)とは何者か? ネオ・ソウルの現在を体現する男の歩みを辿る
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- 2017.03.02

ロンドン移住後の成長を踏まえた最新作『Cloak』
そしてロンドン移住後の2015年、ソーラ・ローザ“Til The Sun”やタク(Ta-ku)“Sunrise / Beautiful”、アルファ・ミスト“Hopeful”、トム・ミッシュ“Wake Up This Day”など、数々のアーティストとの交流を重ねて活動の幅を広げたジョーダンは、ディスクロージャーのセカンド・アルバム『Caracal』収録の“Masterpiece”への参加によって一躍その名を世界に知らしめる。ウィークエンド、サム・スミス、ロード、ミゲル、グレゴリー・ポーターといった人気シンガーがずらりと並ぶ『Caracal』のなかにあって、ジョーダンは持ち前の幽玄なヴォーカル・パフォーマンスをもって確かな存在感を示してみせたのだ。
「“Masterpiece”のトラックは、ディスクロージャーやジミー・ネイプス(サム・スミス“Stay With Me”のプロデューサーとして名高い)と一緒に作った。彼らは〈いつも僕たちはビートを作ってからシンガーを選んで、後から歌を乗せるんだけど、君はプロデューサーだから君にとってのベストなやり方でやったらいい〉と言ってくれたんだ。とても光栄だったよ。彼らのアルバムに関わることができたことを、すごく感謝している」。
その後ジョーダンは、ロシア、イタリア、ベルギー、ドイツなどヨーロッパ各国を巡る単独コンサート・ツアーを敢行(2015年の〈OnBlackheath Festival〉ではジャイルズ・ピーターソンが主宰する〈Worldwide〉ステージに出演)。こうしたライヴ活動と並行して作り上げたのが、2016年6月に満を持してリリースしたデビュー・アルバム『Cloak』になる。ホセ・ジェイムズやフライング・ロータスとの共演でお馴染みの凄腕ドラマー、リチャード・スペイヴンとのコラボレーションを含む同作のサウンド・プロダクションについて、ジョーダンがもっとも配慮した点として真っ先に挙げたのは、ずばり〈リズム〉。実際、このアルバムではトライバルなビートとジョーダンの官能的なヴォーカルが相まった、トリッピーなサウンドスケープが大きな魅力になっている。
「僕はずっとサイケデリックやエクスペリメンタルが好きだった。フランク・ザッパ、ピンク・フロイド、レディオヘッドとかも含めてね。いままで僕は曲の中に自分のアイデアを表明するようなスキルを持ったことがなかったけど、ロンドンに住んでからはそういうテクニックについても学ぶことができた。そして、それらを踏まえて自分の音楽制作に活かせるようになったんだ。『Cloak』はサウンドと歌詞との繋がりがより強いアルバムになっていると思う。できる限り自分に正直に、すべての曲の意味やそれぞれの瞬間をきちんと思い出せるようにしたつもり。それらはすごくパーソナルな事柄だから、みんなが僕の曲を楽しんでくれているのはとても嬉しいよ」。
そんな『Cloak』を引っ提げて、現在精力的なライヴ活動を行っているジョーダンが、いよいよ日本に初上陸する。シェルドン・アグゥー(ギター)、トム・ガイ(ベース)、ジム・マクレー(ドラム)らアルバムと同じメンバーを伴っての来日公演ということで俄然期待が高まるが、昨年12月にはダン・カイ(Dan Kye)名義でディープ・ハウス/ブロークンビーツに挑んだEP『Joy, Ease, Lightness』を発表して『Cloak』のさらに先のヴィジョンをほのめかしていたジョーダンのこと、きっと今回のステージではネオ・ソウルの新しい可能性を垣間見せてくれるはずだ。
LIVE INFORMATION
ジョーダン・ラカイ来日公演
2017年3月14日(火)、15日(水)@東京・COTTON CLUB
1st show
開場/開演:17:00/18:30
2nd show
開場/開演:20:00/21:00pm
■料金
自由席:6,500円(テーブル席)
指定席
BOX A(4名席):8,500円
BOX B(2名席):8,000円
BOX S(2名席):8,000円
SEAT C(2名席):7,500円
■メンバー
ジョーダン・ラカイ(ヴォーカル/キーボード/ギター)
シェルドン・アグゥー(ギター)
トム・ガイ(ベース)
ジム・マクレー(ドラムス)