まさに、1984年はプリンスがR&Bに留まらず、大衆に認知される年であった。そのきっかけとなったのは、プリンスの自伝的映画『パープルレイン』と、サウンド・トラックのアルバムであった。本書は、『パープルレイン』の製作に至る前夜から、大きく飛躍するまでの数年のストーリーが詳細に描かれている。プリンスの創造性とパフォーマンスが、映像と音楽の相互的なプロモーション効果と相まって大ヒットに繋がった事が、当時の制作関係者のインタヴューやメディアの反応を絡めて、明らかになっている。『パープルレイン』制作の裏側も含めて、当時の映画・音楽業界も垣間見る事が出来る、興味深い1冊である。
ズバリ表題通り、件のアルバムと映画に焦点を絞った一冊。当時のマネージャーやバンド・メンバーら関係者の証言を軸に、歴史的な作品が生まれる舞台裏を探った2014年の書籍がこのたび邦訳された。結成から解体まで暴君の閃きに翻弄されたレヴォリューションの歴史を多角的に捉える助けになるし、何よりプリンス存命時に書かれたからこその、各人の率直な発言も興味深い。