プリンスが1995年に発表した傑作『ゴールド・エクスペリエンス』。このアルバム発売までのプリンスにまつわるドキュメントを綴った研究書。筆者の長谷川友は前作『プリンス:サイン・オブ・ザ・タイムズのすべて』で膨大な資料を徹底的に読み取り話題になったが、本作も期待以上の内容だった。所属レーベルとの契約をめぐる確執、改名をめぐるトラブルのなか、ひたすら音楽を作り続けるプリンスの姿を、録音された音源、ライヴ等々を中心に日付で詳細に追っていく。特に、第三章〈ゴールド・エクスペリエンスの時代〉は、アルバムの製作の様子を刻銘に描かれていて圧倒された。