互いにインスパイアされあった2人のギタリストによるデュオ作
ジャズ・ギタリスト小沼ようすけと、オレンジ・ペコー、ソロ・ギタリストとして活躍する藤本一馬。それぞれジャズやポップスからワールド・ミュージックまで、ジャンルを越えた表現方法を模索し、新しい音を生み出し続けるギタリストのデュオ作品が届いた。ありそうでなかった共演、二人はどのように出会い音を交わすようになったのだろうか。
「axes sufrage(鎌倉のサーフ・ショップ)に、ギター・メンテナンスをお願いしていた川畑完之さんと一緒に一馬君が来てジャズ・ブルースをセッションしたのが最初。浮遊感がありモダンなプレイに驚きました」(小沼)
それまでも面識はあったが、2009年頃から共通の趣味、サーフィンを通して自然とセッションするようになっていったという。所謂サーフ・ミュージック的な音作りを意識することはあったのだろうか。
「全く意識はしていませんが普段から当たり前に海に入っているので無意識に海、自然から影響を受けていると思います」(小沼)「(サーフィン後に聴く)自然の音のミニマルなパルスはとても空間的で音楽的だと思うことがよくあります」(藤本)
サーフィンや自然からの影響は特に大きいといい、小沼は更に当時世界中を旅していたことが大きなインスピレーションになっているという。また、好きなギターデュオ作品としてラルフ・タウナーとジョン・アバークロンビーのECM作品(海にまつわる作品を76年と81年に発表している)を共通して挙げており、静謐さと抒情性を持った音楽性など多く通じるものがある。波の様に寄せ返す音には時に自然の持つ厳しさを感じさせる一面も。
本作が録音された以降も、小沼はジャム・カ・ドゥでグレゴリー・プリヴァ(ピアノ)らと共に中南米のリズムを取り入れた作品を発表、藤本はソロ作でカルロス・アギーレやアンドレ・メマーリら南米勢との共演を重ねる。
「自分の音楽やプレイに大きな変化を与えてくれた。それぞれの影響によりこれからのライヴでアルバム曲がどう変化するのか、また変わらない部分は何なのか、とても楽しみです」(小沼)「これまでのソロ作での共演ミュージシャンはみんな素晴らしく、音楽性の共鳴やリスペクト含めたくさんのインスピレーションをもらいました。お互いのソロ活動のなかで、またより音楽的な個性が強くなってきていると思います」(藤本)
音楽性や自然観はそれぞれだが、「ギターを弾いているときの感情、向かう場所が一緒」(小沼)、「その重なりで新しいものになった」(藤本)と語る。このデュオの音はここにしか存在しない特別なものだ。そう、彼らの旅はまだ始まったばかり。
LIVE INFORMATION
2017年11月からツアーをスタート
詳細は近日オフィシャルサイトにて発表
http://www.inspired-g-d.com