どうも皆さん、Mikikiではお初にお目にかかります、
ドラムスのMonnaです。
この連載はメンバー4人が持ち回りでやらせてもらっているわけですが、
初めて読んでいただいている方はこれも何かの縁ですのでどうぞお見知り置きを。
前回のYukiの回ではNY滞在途中がデッドラインだったので、
今回多少重複する部分があるかと思いますが、お許しください。
ということでNYを始まりの地として端を発します。
NYでは計3本のライヴをすることができたのですが、まず
【1本目:4月25日 @Knitting Factory】
初陣ということもあり、まったく未知数の恐怖からか、
早々に〈Beer O'clock〉の鐘は鳴らされるわけですが、初めて来た感じのしない居心地の良いライヴハウスでした。
そして嬉しいサプライズとして、われわれの最新アルバム『III』が思っていたよりも早く手元に届き、物販のテーブルを飾ることができたのです。
『III』 Photo by Adela Loconte
共演したバンドのうち1組は、先の〈SXSW〉でも会ったケンさんとアダムのデュオ、ケン・サウス・ロック。
よくよく話を聞くと、ここNYでもソリッドな憂いと恍惚の旋律を響かせていた日本のバンド・ZZZ'sとも知り合いとのこと。
その広さを思えば気絶しそうになるこのアメリカのなかのNY、そして日本、イギリスという3か所が結んだ光の大三角形を想像せずにはいられませんでした。
世界が縮んだのか、人が大きくなったのか。
そんな感慨深さから一変、実はその2日前に悲惨な現実を突き付けられているわれわれ。
マネージャー、食中毒……。
基本的にはもうすでにほとんどの段取りは組んでくれているので問題はないのですが、頼っている部分はもちろんありますし、心配ですし、ねえ。
どうやらみんなで行った韓国料理屋での一人焼き肉が原因だったようです。
なのでこの日、彼女はあえなく欠席。
ですがここで心強い2人の協力者を紹介しておきます。
まず、ジム・ホワイト氏
すみません、写真逆光で。
ダーティー・スリーのドラマーと言えばわかる人も多いんじゃないでしょうか。
他にもPJハーヴェイやキャット・パワーなど多くのミュージシャンとの共演/レコーディング経験を持つ彼は、その人間性が滲み出るような繊細さと荒々しさを持ったとても生々しいドラムを叩かれます。
畏敬の念を抱かずにはいられない。
ライヴで足りていない機材を快く貸してくれたり、
今回泊まったブルックリンの家も彼の尽力なくしては借りられなかったでしょう。
でもお気に入りのジャケットは右肘部分が破れてたりして、可愛らしい(失礼)一面も。
そして、ブラッド・トゥラクス氏
東海岸でのライヴのドライヴァーをしてくれたのですが、事実上ツアー・マネジャーとして動いてくれていました。
彼はベーシストでスピリチュアライズドやインターポール、アニマル・コレクティヴなどで弾いたりしている強者。
寡黙ですが、程良い冗談も交えながらしっかり仕事をしてくれます。
ジム氏とは別のバンドでも共演する旧知の仲。
でもお気に入りのデニム・ジャケットの右肘部分は破けてたりします。
やはり、と言うべきか……。
実は、この日はKohheiの誕生日ということもあり、終演後は一同バーへ繰り出しました!
そしてメンバー、友人たちからグラスワインのプレゼント、の嵐。
その後、彼がまるで髪ごと揺らめく黒い炎のようになって、ブルックリンの闇と同化していったことは言うまでもありません。
【2本目:4月27日 @Rough Trade】
言わずと知れたラフ・トレードNY店でのインストア・ライヴ。
倉庫をそのまま使ったような内装でとても良い雰囲気のお店で、ロンドンの東西両方のお店とも印象が違い、新鮮でした。
何よりライヴ・スペースがちゃんとしたステージ(ロンドンのラフ・トレードは思いっきり〈店内〉なので)!
昼の2時からでしたが、日曜ということもあって結構な人が来てくれていました。
前回の同連載で登場したコナン・モカシン一行も遊びに来てくれて、楽しい日曜日の始まり、始まり。
演奏後は機材を家に置いて、ブルックリンはグリーン・ポイントにあるみんなの待つパブへ。
注:もちろんラフ・トレードの時点で金麦酒の時を知らせる鐘はすでに鳴っているわけです。
その後〈Sapporo Haru〉なる日本食屋さんへ。
何とここ、日本酒(熱燗)がなぜか無料で振る舞われます。
しかもエンドレス……。
ということで勢いに乗った面々は、どういうテンションだったのかボーリングへ。
〈The Gutter〉というとても古くて味のあるボーリング場でした。
ですがそこで酔いに任せてはしゃぎすぎ――強制退去。
もちろんそれで収まるわけもなく、バーで丑の刻が満ちるまで杯を交わしたわけですが。
ウィリアムスバーグ、グリーン・ポイント周辺を何とも堪能した一日でありました。
コナンを筆頭に彼らはそれぞれ独特の個性を放っていて、とてもおもしろいのです。
はしゃいだりはするけど、誠実。そこがいい。
例えばこの彼、コナン・モカシンのサポートで彼らといっしょに回っているキリンJ・キャリナンのキーボード、テックスくん。
【3本目:5月2日 @Webster Hall(Studio)】
われわれの新曲“Da Da Da”の7インチ・シングル盤を出してくれたノー・レコーディングスのブライアンによるイヴェント。
それまでの2か所とは違い、マンハッタンに位置するこのライヴハウスはまた違った空気でした。
サウンドチェック後に行った居酒屋さんでのブライアン。
彼は海鮮丼を所望。
普通こちらの人はウニが苦手な人が多いですが、彼はご満悦。
そしてコナン・モカシンのライヴにようやく足を運べぶことができたわけです。
視覚的にも楽しめるエンターテイメント性もさることながら、
一癖ある楽曲群とその陶酔力に、詰めかけた人々は釘付けでした。
〈ニュージーランドのアリエル・ピンク〉と評されたりする彼ですが、
会場でアリエル・ピンクのベース、ティム・コウ氏にお会いすることに。
誰かに似ている……そう、それもとても身近なところにいる、誰か。
他にもこのNYの日程前後で各地を回りましたが、各地で洗礼を受けることに。
【4月22日 @ボストン・TT The Bear's】
奇跡の来場者5名!
ですが20分に及ぶインプロを組み込んだ特別セットで。
初心にカエル。
【4月29日 @フィラデルフィア・MilkBoy】
フューチャー・アイランドやコナンたちとライヴ日程が被り、ここもまた……。
【4月30日 @ボルティモア・Ottobar】
知人のウォルター・グロスも出演、という嬉しいサプライズがありましたが、
記録的な豪雨で河川氾濫、道路封鎖という悲しいサプライズ返し。
とまあ、逆境は自分を磨く糧となるわけですからね。それはそれ、これはこれ。
そしてこのUSツアー最後の場所、〈SXSW〉以来約1か月ぶりのテキサスはオースティンへ。
【5月4日 〈オースティン・サイケ・フェスト〉】
最近世界各地でサイケデリック・フェスティヴァルが催されているようですが、この濃いラインナップはそうそうないのではと思いました。
もっと時間があれば普通にじっくり楽しみたかったなと。
サイケデリックというだけあって(主にドラッギーなものが大半でしたが)、
各ステージのヴィジュアル面での凝り方は秀逸でした。
最近新作を出したホラーズやトイ、テンプルズといったイギリスの仲間たち、そしてAcid Mothers Temple、MONO、Kikagaku Moyoなど日本のバンドも出演していて、自分がどこにいるのかうっかりすれば見失ってしまいそうなほどの困惑も相まって忘れられないフェスになりました。
来年も出たいものです、もう少し時間を作って。
また偶然、渋谷で〈グリモワール〉というヴィンテージ・セレクトショップをやっている高校時代の友人が買い付けでテキサスに来ていたので落ち合うことができたり、嬉しい出来事が続きました。
*グリモワールに興味ある方はこちら
アメリカ最後の夜は友人たちと時間の限界まで大いに呑み、
そしてひと時の仮眠後、そのままロンドンへ。