どうも皆さん、Mikikiではお初にお目にかかります、
ドラムスのMonnaです。
この連載はメンバー4人が持ち回りでやらせてもらっているわけですが、
初めて読んでいただいている方はこれも何かの縁ですのでどうぞお見知り置きを。

前回のYukiの回ではNY滞在途中がデッドラインだったので、
今回多少重複する部分があるかと思いますが、お許しください。

ということでNYを始まりの地として端を発します。
NYでは計3本のライヴをすることができたのですが、まず

 

【1本目:4月25日 @Knitting Factory】

Photo by Adela Loconte

 

初陣ということもあり、まったく未知数の恐怖からか、
早々に〈Beer O'clock〉の鐘は鳴らされるわけですが、初めて来た感じのしない居心地の良いライヴハウスでした。

そして嬉しいサプライズとして、われわれの最新アルバム『III』が思っていたよりも早く手元に届き、物販のテーブルを飾ることができたのです。

『III』 Photo by Adela Loconte

 

共演したバンドのうち1組は、先の〈SXSW〉でも会ったケンさんとアダムのデュオ、ケン・サウス・ロック。
よくよく話を聞くと、ここNYでもソリッドな憂いと恍惚の旋律を響かせていた日本のバンド・ZZZ'sとも知り合いとのこと。
その広さを思えば気絶しそうになるこのアメリカのなかのNY、そして日本、イギリスという3か所が結んだ光の大三角形を想像せずにはいられませんでした。
世界が縮んだのか、人が大きくなったのか。

【参考動画】ケン・サウス・ロックの2012年作『Volcano』収録曲“Hold On”

 

そんな感慨深さから一変、実はその2日前に悲惨な現実を突き付けられているわれわれ。

マネージャー、食中毒……。

基本的にはもうすでにほとんどの段取りは組んでくれているので問題はないのですが、頼っている部分はもちろんありますし、心配ですし、ねえ。
どうやらみんなで行った韓国料理屋での一人焼き肉が原因だったようです。
なのでこの日、彼女はあえなく欠席。

ですがここで心強い2人の協力者を紹介しておきます。

まず、ジム・ホワイト氏

教えを乞う自分とご教授くださるホワイト氏

 

すみません、写真逆光で。
ダーティー・スリーのドラマーと言えばわかる人も多いんじゃないでしょうか。
他にもPJハーヴェイやキャット・パワーなど多くのミュージシャンとの共演/レコーディング経験を持つ彼は、その人間性が滲み出るような繊細さと荒々しさを持ったとても生々しいドラムを叩かれます。
畏敬の念を抱かずにはいられない。

ライヴで足りていない機材を快く貸してくれたり、
今回泊まったブルックリンの家も彼の尽力なくしては借りられなかったでしょう。

でもお気に入りのジャケットは右肘部分が破れてたりして、可愛らしい(失礼)一面も。

【参考動画】ダーディ・スリーの2008年の『Ocean Songs』収録曲“The Relentless Waves”

 

そして、ブラッド・トゥラクス氏

渋い

 

東海岸でのライヴのドライヴァーをしてくれたのですが、事実上ツアー・マネジャーとして動いてくれていました。
彼はベーシストでスピリチュアライズドやインターポール、アニマル・コレクティヴなどで弾いたりしている強者。
寡黙ですが、程良い冗談も交えながらしっかり仕事をしてくれます。
ジム氏とは別のバンドでも共演する旧知の仲。

でもお気に入りのデニム・ジャケットの右肘部分は破けてたりします。
やはり、と言うべきか……。

実は、この日はKohheiの誕生日ということもあり、終演後は一同バーへ繰り出しました!
そしてメンバー、友人たちからグラスワインのプレゼント、の嵐。
その後、彼がまるで髪ごと揺らめく黒い炎のようになって、ブルックリンの闇と同化していったことは言うまでもありません。

 

【2本目:4月27日 @Rough Trade】

Photo by Adela Loconte

 

言わずと知れたラフ・トレードNY店でのインストア・ライヴ。
倉庫をそのまま使ったような内装でとても良い雰囲気のお店で、ロンドンの東西両方のお店とも印象が違い、新鮮でした。
何よりライヴ・スペースがちゃんとしたステージ(ロンドンのラフ・トレードは思いっきり〈店内〉なので)!

昼の2時からでしたが、日曜ということもあって結構な人が来てくれていました。
前回の同連載で登場したコナン・モカシン一行も遊びに来てくれて、楽しい日曜日の始まり、始まり。

演奏後は機材を家に置いて、ブルックリンはグリーン・ポイントにあるみんなの待つパブへ。

ユウキ 2014春/夏と、黒タイゲン/白コナン

 

注:もちろんラフ・トレードの時点で金麦酒の時を知らせる鐘はすでに鳴っているわけです。

その後〈Sapporo Haru〉なる日本食屋さんへ。
何とここ、日本酒(熱燗)がなぜか無料で振る舞われます。
しかもエンドレス……。

ということで勢いに乗った面々は、どういうテンションだったのかボーリングへ。
〈The Gutter〉というとても古くて味のあるボーリング場でした。
ですがそこで酔いに任せてはしゃぎすぎ――強制退去。

Oh...

 

もちろんそれで収まるわけもなく、バーで丑の刻が満ちるまで杯を交わしたわけですが。

ウィリアムスバーグ、グリーン・ポイント周辺を何とも堪能した一日でありました。
コナンを筆頭に彼らはそれぞれ独特の個性を放っていて、とてもおもしろいのです。
はしゃいだりはするけど、誠実。そこがいい。

例えばこの彼、コナン・モカシンのサポートで彼らといっしょに回っているキリンJ・キャリナンのキーボード、テックスくん。

 ……

 

【3本目:5月2日 @Webster Hall(Studio)】

われわれの新曲“Da Da Da”の7インチ・シングル盤を出してくれたノー・レコーディングスのブライアンによるイヴェント。
それまでの2か所とは違い、マンハッタンに位置するこのライヴハウスはまた違った空気でした。

サウンドチェック後に行った居酒屋さんでのブライアン。
彼は海鮮丼を所望。
普通こちらの人はウニが苦手な人が多いですが、彼はご満悦。

うに うに

 

そしてコナン・モカシンのライヴにようやく足を運べぶことができたわけです。
視覚的にも楽しめるエンターテイメント性もさることながら、
一癖ある楽曲群とその陶酔力に、詰めかけた人々は釘付けでした。

【参考動画】コナン・モカシンの2013年作『Caramel』収録曲“Do I Make You Feel Shy?”

 

〈ニュージーランドのアリエル・ピンク〉と評されたりする彼ですが、
会場でアリエル・ピンクのベース、ティム・コウ氏にお会いすることに。

【参考動画】2013年のアリエル・ピンクとジョルジュ・エルブレヒトの
コラボ7インチEP収録曲“Hang On To Life”

 

誰かに似ている……そう、それもとても身近なところにいる、誰か。

ティム・コウ氏 と コウ・ヘイ氏

 

他にもこのNYの日程前後で各地を回りましたが、各地で洗礼を受けることに。

 

【4月22日 @ボストン・TT The Bear's】

奇跡の来場者5名!
ですが20分に及ぶインプロを組み込んだ特別セットで。
初心にカエル。

 

【4月29日 @フィラデルフィア・MilkBoy】

フューチャー・アイランドやコナンたちとライヴ日程が被り、ここもまた……。

 

【4月30日 @ボルティモア・Ottobar】

知人のウォルター・グロスも出演、という嬉しいサプライズがありましたが、
記録的な豪雨で河川氾濫、道路封鎖という悲しいサプライズ返し。

かつて 駐車場 といわれた それ

 

とまあ、逆境は自分を磨く糧となるわけですからね。それはそれ、これはこれ。

【参考動画】ウォルター・グロスの2012年のEP『Free Walter Gross』収録曲“67 Masks”

 

そしてこのUSツアー最後の場所、〈SXSW〉以来約1か月ぶりのテキサスはオースティンへ。

 

【5月4日 〈オースティン・サイケ・フェスト〉】

最近世界各地でサイケデリック・フェスティヴァルが催されているようですが、この濃いラインナップはそうそうないのではと思いました。
もっと時間があれば普通にじっくり楽しみたかったなと。
サイケデリックというだけあって(主にドラッギーなものが大半でしたが)、
各ステージのヴィジュアル面での凝り方は秀逸でした。
最近新作を出したホラーズやトイ、テンプルズといったイギリスの仲間たち、そしてAcid Mothers Temple、MONO、Kikagaku Moyoなど日本のバンドも出演していて、自分がどこにいるのかうっかりすれば見失ってしまいそうなほどの困惑も相まって忘れられないフェスになりました。
来年も出たいものです、もう少し時間を作って。

また偶然、渋谷で〈グリモワール〉というヴィンテージ・セレクトショップをやっている高校時代の友人が買い付けでテキサスに来ていたので落ち合うことができたり、嬉しい出来事が続きました。
*グリモワールに興味ある方はこちら

友人(十倍直昭)、野村仁美ちゃんと共に

 

アメリカ最後の夜は友人たちと時間の限界まで大いに呑み、
そしてひと時の仮眠後、そのままロンドンへ。

 

アメリカ国内便の乗り継ぎが複雑だったこともあり、オースティンの家を出てから
ロンドンの自宅に着くまで計31時間を要しました……。

もう身体も心も崩壊寸前のところを何とか意志の糸で繋ぎ合わせながら半日休み、間髪入れずに新作『III』のリリースにあたってのUKツアーがスタート!

今回は10か所でのライヴ、そしていつもお世話になってるBBC Radioはマーク・ライリー氏の番組でのセッションと計11回の演奏。

新作のリリースという出来事だけではなく、今回は友人のバンド、ヤングハズバンドがツアーをいっしょに回ってくれるので、それもとても楽しみでした。
人間的にも音楽的にも好きなバンドというのはなかなか見つけづらいと思うんです。

ヤングハズバンド

 

【参考動画】ヤングハズバンドの2013年のシングル“Silver Sisters”

 

そしてドライヴァーは以前にも依頼したことのあるレイジング・スピードホーンのドラマー=ゴードン。
彼らは再結成を果たし、なんとわれわれ、そしてBABYMETALも出演する〈ソニスフィア・フェスティヴァル〉に出演するとか! 楽しみすぎます。

そう、このツアーは完璧な布陣なんです。

うっかり席を離れたら、レイジング・スピードニンゲンに。ゴードン……叩きたかったんだね

 

まずはここから始まります。

【5月7日 @ロンドン・Heaven】

自身の演奏で自身を回復させてゆくような、ヘヴン Photo by Taira Kurihara

 

もう時差ボケとか言ってる場合ではないと身体が判断したらしく、
演奏前には身体の準備が出来ていきます。
でもちょっと、辛い……。

そしてこの日、物販のCD(しかも新作)をそのままライヴハウスに忘れてくるという痛恨のミス……! もはやリリース・ツアーの意味とは……。
数日後送り届けてもらいましたが。
疲れていたんでしょう……。

 

【5月8日 @ブリストル・Thekla】

左端に彼はいます Photo by Taira Kurihara

 

ジェフという男がこの地にはいます。

合う・合わないということが、音楽を聴くうえでは起こり得ると思います。
しかし彼の場合、葉や花が風で揺れるように、自然にわれわれの轟音に身体を委ねてくれます。
ゆさゆさと大きな頭を振りながら、常にフェスに行き続けていることを意味するリストバンドの数の多さが、彼の音楽に対する姿勢を示している。

今日も来てくれていて、良かった。

そして
5月9日にバーミンガム、5月10日にリーズと何とか乗り切り、待ちに待った〈デイ・オフ!〉

11日はマンチェスターでゆっくり静養しようということで、ほとんどゴロゴロして過ごしていたのですが、この頃からTaigenに異変が……。

前々から麻婆豆腐が好きだということは知っていましたが(自分もですが)、
この日の渇望っぷりたるや、目を見張るものがありました。
彼はこの日の食事2回共に麻婆豆腐を選び、
あまつさえ〈時間に余裕があれば明日の昼も麻婆いけるなー、へへへ〉などと!

以下は主に彼と麻婆豆腐の蜜月スナップなり。
もはや〈3rd Album Release Tour ~麻婆豆腐と共に~〉というサブタイトルが付いても何ら不思議がないほどの入れ込みよう。

(左上から)ロンドンの麻婆、マンチェスターの水煮肉片、マンチェスターの麻婆、
店の名が〈MA BO〉(本来、MA PO)、麻婆狂いの人、マンチェスターの麻婆2

 

そして比較的影響されやすく元来料理好きな自分はやはり、作ってしまいました。

本気で。

めざすは陳建民氏のそれと、漫画「中華一番」伝説の麻婆のハイブリッド。
葉にんにくは入手できませんでしたが、花椒、紹興酒、豆豉、四川豆板醤、甜麺醤、自家製ラー油を使ってしっかり辛くて香る麻婆豆腐。

各種調味料と行程、そして完成品 

 

フラットメイトに試食してもらうの図

 

若干、話が逸れましたね。

 

【5月12日 @マンチェスター〈マーク・ライリー・セッション〉とDeaf Institute】

バタバタしながらもBBC Radioのあるメディア・シティーへ。
何回か出演しているので比較的スムーズに機材搬入、そして入館用のパスをもらったのですが……唖然。

うーん、おしい。ちなみにYukiも名字が北欧風に

 

でもややこしくしてるのは自分なんですよね、はは。

無事ラジオ出演も終えて、即ライヴ会場へ。
息吐く暇もないほどの忙しい1日でしたが、ライヴ自体もよく充実した一日でした。
同じようにツアー中の盟友、テレマンのヒロ・アマミヤくんも遊びにきてくれたり。

【参考動画】テレマン“Not In Control”

 

 ホテルで寛ぐ面々

 

【5月13日 @グラスゴー・King Tuts】

このライヴハウスは、一度Yukiと“DaDaDa”のミュージック・ビデオの監督・Kenichi Iwasa兄さんとでやってるXaviersで、ワイアーをサポートした時に演奏した経験があります。
普段はだいたい雨で曇天模様なのですが、この日に限っては晴れていました。

なので

上機嫌のフロントマン×2

 

ひなたぼっこして微動だにしないヤングハズバンドのドラマー、ピート

 

5月14日のリバプールと5月15日のノッティンガムについては、前半部分で飛ばしすぎたため割愛させていただきます、悪しからず。

そして16日にふたたびデイ・オフ、しかも今回は自宅です!
泥のように眠りました。やっぱり自分のベッドは最高ですね。

最後の2本。

 

【5月17日 @サウザンプトン・The Joiners】

ここの人たちはいつもイギリスで観に来てくれるおじさんたちのそれをさらに上回るパワーを持っている印象です。
実際Yukiの前の厳ついおじさんがギターのエフェクターの真上で狂ったように頭を振っているので、しばらく音を切り替えられなかったと言ってました。
そんな熱くて良い場所です。

 

【5月18日 @ブライトン・The Haunt】

ここはブリティッシュ・シー・パワーのサポートの時や、1年前にも演ったことがあるので馴染みでもあります。
最後に相応しく多くの人が足を運んでくれましたし、良い締め括りになりました。
いつものことですが、すべて終わって打ち上げ的なことをできずにサポートのバンドとも別れてしまうので、最後に今度改めて呑もうと約束を交わし、ブライトンを後にしました。

そして数日の休憩後、これを書いているわけです。

夢から覚めて、心も身体も油断しきってしまうようで、数日は筋肉の回復や気持ちを通常のモードに戻すのに苦労しますが、この繰り返しもまた日常。
これが載る頃には終わっていますが、これからいよいよバルセロナの〈プリマヴェーラ・サウンド〉。
楽しみです。

最後に、先日完成し、公開されたばかりの“Slider”のミュージック・ビデオを。
ディレクターは気鋭のフォトグラファー、ニック・ナイトが率いるショウスタジオの若き才能、マリー・シュラー氏が手掛けてくれました。

新たなBO NINGENの世界を堪能してください。

それではまた。

 

PROFILE/BO NINGEN


Taigen Kawabe(ヴォーカル/ベース)、Kohhei Matsuda(ギター)、Yuki Tsujii(ギター)、Akihide Monna(ドラムス)から成る4人組。2006年、ロンドンのアートスクールに通っていたメンバーによって結成。2009年にアナログ/配信で発表した 『Koroshitai Kimochi EP』が現地で話題となり、UKツアーのみならず、日本盤の発表後は日本でのツアーも成功させる。2011年にミニ・アルバム『Henkan EP』、2枚目のフル・アルバム『Line The Wall』をリリース。昨年から今年にかけて、〈フジロック〉やオーストラリアの〈ビッグ・デイ・アウト〉、USの〈SXSW〉〈コーチェラ〉といった各国の大型フェスへ出演し、ますます注目を集めるなか、先日UKで待望のニュー・アルバム『III』(Stolen)をドロップ。そして6月25日には世界各国でのライヴ音源もプラスされた同作の日本盤が登場しますよ! 最新情報はこちらのサイトでチェック!

BO NINGEN III Stolen/ソニー(2014)