ジャズ、ラテン、ソウル、ドゥワップなどを採り入れながら美味なるポップンロールを送り出してきたブロンクス生まれのシンガー・ソングライター、ビリー・ジョエル。彼による名曲のカヴァー集『We Love Piano Man: Tribute To BILLY JOEL』が、出世作『Piano Man』の発表40周年の機会に制作された。スティーヴィー・ワンダー的アプローチのさかいゆうや、NYとジャズへの思いを綴ったJUJUら、稀代のメロディーメイカーへの歌の花束がとりどりに並ぶ本作。なかでもジャジー&グルーヴィーな仕様の土岐麻子ほか、冨田ラボのプロデュース曲がすこぶるカラフルな仕上がりに。
そして、本国からはビリー自身の『A Matter Of Trust: The Bridge To Russia』が到着。こちらはビリー初のロシア(当時はソ連)公演を収めた87年作『Kohuept』の拡張版。ゴキゲンなアップ・チューンを繰り出しながら、ロック・コンサートに慣れてなかったロシアっ子たちを煽っていくビリーが勇ましくてカッコ良い。初収録テイクは11曲で、とりわけドン&ジュアンのドゥワップ・クラシック“What's Your Name”のカヴァーが嬉しい。