96年に設立されて以来、ピーナッツ・バター・ウルフの感性や気分の赴くままに多くのユニークな才能を送り出してきたストーンズ・スロウ。近年もデイム・ファンクアロー・ブラックらを見い出し、いまやLAが誇るインディー・レーベルの名門となっている彼らだが、ここに至るまでの道程は決して平坦ではなかったわけで……そんな歴史をPBW本人ら多くの関係者/アーティストの証言によってつまびらかにしたのが日本でも昨年公開されたドキュメンタリー映画「Our Vinyl Weighs A Ton」だ。

VARIOUS ARTISTS Our Vinyl Weighs A Ton(This Is Stones Throw Records)(Blu-ray/DVD) Stones Throw/BBQ(2014)

   コメントで出演するのは、マッドリブら所属アーティストをはじめ、インターンだったフライング・ロータスや、タイラー・ザ・クリエイターカニエ・ウエストハウス・シューズアリエル・ピンクA・トラックら豪華な面々。カジモト誕生やメイヤー・ホーソーンが歌手に転向する契機となったエピソードではPBWの慧眼ぶりに唸らされるし、相棒カリズマJ・ディラの死という喪失にたびたび苛まれる場面には胸が詰まる。そして全体から伝わってくるのは、レーベルに宿る本来的な意味でのインディー魂とクリエイティヴ精神の尊さだ。

 

  今回のソフト化に際してはマッドリブの新録を含むコンピCDも同梱されているので、この機会にぜひ目と耳で偉大な歴史を堪能してみよう。