チャリティー・プロジェクト、〈PLAYING FOR CHANGE〉をご存知だろうか? プロジェクト名にピンとこなくても、大和証券グループのテレビCMはご覧になったことがあるはず。ブラジル、ハワイ、日本、イギリスのミュージシャンがそれぞれに“上を向いて歩こう”を演奏している映像で、トランペットを演奏しているのは、日本人として初めてアメリカのブルーノートとサインした黒田卓也。現行ジャズ・シーンを切り開くプレイヤーの登場によって、同CMは音楽ファンの注目も集めた。

2002年、アメリカのプロデューサー/エンジニアのマーク・ジョンソンによって立ち上げられた〈PLAYING FOR CHANGE〉は、ひとつの楽曲を世界各地のミュージシャンが歌い継いでいく映像作品を核としたチャリティー・プロジェクト。ひとつなぎの音楽と映像は国境、人種、文化、宗教を超越した〈世界のつながり〉を意味し、プロジェクト名を冠したNPOが世界中の子供たちのための音楽学校を設立/運営に取り組むなど、貧困や教育格差の問題解消に向けたさまざまな慈善活動を行っている。

そのPLAYING FOR CHANGEがゴージャスな3人のゲスト・ミュージシャン――Char、平井大、福原美穂を迎えた特別ライヴをBillboard Liveで開催! 日程は10月23日(月)にBillboard Live OSAKA、10月24日(火)、25日(水)にBillboard Live TOKYOとなっている(Charは東京公演のみ出演)。ここでは各ゲストの輝かしき歩みを振り返ってみよう。

名実ともに日本を代表するギタリスト、Charについては説明不要かもしれない。彼が日本の音楽史に残した偉大な足跡とディスコグラフィーを細かく辿っていけば、それこそ1冊の本が書けてしまうほどだが、ここでは入門編としてごく簡単にその歴史を振り返るに留めたい。10代半ばからセッション・ギタリストとしての才覚を発揮し、アンファンテリブルとしてその名を轟かせたことは有名だが、現在にもつながるキャリアを歩みはじめた契機を挙げるとすれば、金子マリらを擁したスモーキー・メディスンでの活動を経てのソロ・デビュー(76年)とJOHNNY, LOUIS & CHARの結成(78年)となるだろう。ソロでメジャー進出を果たしたCharは、歌謡曲路線のアイドル系ギタリストとしてヒットを飛ばしていく。

Charの77年作『Char II have a wine』収録曲“気絶するほど悩ましい”
 

一方、ジョニー吉長とルイズルイス加部とのトリオ、JOHNNY, LOUIS & CHAR(のちにピンククラウドへと改名)では英国流ハード・ロックの美学からフォーク、ファンクまでをも飲み込んだユニークな音楽を追求。Charサウンドにおけるひとつの完成型とも言うべきこの時期のグルーヴィーな楽曲群は、のちのレコード・ディガーたちによって〈Light Mellow〉として再発見されることにもなる。

JOHNNY, LOUIS & CHARの81年作『OiRA』の収録曲“Hold Me Tight ”
 

そして、88年に自主レーベルの江戸屋レコード、2010年には現在も拠点にしているウェブ・レーベルのZiccaを設立。インディペンデントな柔軟性を重視したこれらの動きに共通しているのは、良質な作品をつくりあげるために音楽制作の全過程に関わっていくというCharの熱意だ。その先鋭的なアティテュードは、同世代の国内のミュージシャンのなかでも突出しており、ギター・マガジン誌が今年掲載した〈ニッポンの偉大なギタリスト100〉では1位の栄光に輝くなど、プレイヤーとしての名声と後続者からのリスペクトは高まるばかりである。

続いて、平井大はウクレレを操るシンガー・ソングライター。2016年にハウス食品〈ジャワカレー〉のテレビCMに使用された、優しくもくるおしい旋律の“Life is Beautiful”によってその名を一躍世に広めた。聴き手にそっと寄り添うような親しみやすいメロディーと滋味深い歌声、サーフ・カルチャーという出自に裏打ちされたポジティヴなリリック、オーガニックでオーセンティックなアコースティック・サウンドは多くのリスナーを癒した。ハワイアンとカントリーを独自の感覚で融合させた〈ポップ・ミュージック〉と形容するほかない唯一無比の音楽は、いまもファンを増やし続けている。

平井大の2016年『Life is Beautiful』収録曲“Life is Beautiful”
 

最後に、福原美穂は北海道・札幌出身のシンガー・ソングライター。彼女のソウルフルな歌声、そしてR&Bとゴスペルを股にかけた音楽性は、日本のソウル・ミュージック愛好家のみならず、お茶の間のポップ・シーンにまで知れ渡っている。彼女がその名を世界に轟かせたのは2008年のこと。当時、弱冠20歳だった福原は、LAにて日本人として初となるアフリカ系アメリカ人教会でのライヴを敢行。そのパフォーマンスのすさまじさは海を越えて話題となり、日本のメディアでも大きく取り上げられた。

福原美穂の2008年のLAの教会でのゴスペル・パフォーマンス
 

2013年にはスウィートボックスの6代目ヴォーカリストに初のアジア人として抜擢され、〈洋楽/邦楽〉といった区分けを軽々と飛び越えてボーダーレスな活躍を見せている。まずは実際にその力強い歌声を聴いてもらうのが、福原美穂というシンガーとの出会いとしては最良の機会となるはず。

福原美穂の2013年の楽曲“ライジング・ハート”
 

Char、平井大、福原美穂――実力とカリスマ性を併せ持つ3人のゲストが、〈PLAYING FOR CHANGE〉プロジェクトにより世界各地で見出された総勢11人のレギュラー・メンバーに加わり、世代やジャンル、国籍などあらゆる境界線を超えた圧巻のパフォーマンスを披露する今回のスペシャル・ライヴ。極上の音響とリラックスできる空間を兼ね備えたBillboard Liveでぜひ楽しんでいただきたい。


LIVE INFORMATION
大和証券グループ presents PLAYING FOR CHANGE
2017年10月23日(月)Billboard Live OSAKA
1stステージ:開場17:30/開演18:30
2ndステージ:開場20:30/開演21:30
サービスエリア 8,500円/カジュアルエリア 7,500円
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2017年10月24日(火)、25日(水)Billboard Live TOKYO
1stステージ:開場17:30/開演18:30
2ndステージ:開場20:30/開演21:30
サービスエリア 9,000円/カジュアルエリア 7,500円
★詳細はこちら