アメリカの黒人音楽だったブルーズがロックに発展してく過程で音のスタイル以外の必要不可欠な要素のひとつとして、ビート・ジェネレーションがある。それは、音のスタイルということではなくスタンスに大きく作用したのではないだろうか。そのスタンスに貢献した、バロウズやギンズバーグもビート文学に欠かせない重要な人物であるが、なにより本作が取り上げているジャック・ケルアック、そして、この男が1957年に出版した『オン・ザ・ロード』の存在意義は計り知れないものがある。1985年に製作された本作。ケルアックという人物を虚像から実像へ導いてくれる唯一の映像作品であろう。
ジョン・アントネッリ 「ジャック・ケルアック/キング・オブ・ザ・ビート」
ハピネット・ピーエム/ブロードウェイ