〈赤い公園ってダークな頃が良かったな〉〈テレビやラジオでのモノマネとか暴走っぷりが楽しいよね〉〈赤い公園といえば恋愛ソングでしょ〉……聴く人観る人によってこれほど表情が変わるバンドも珍しいのかもだけど、よーく考えれば人間誰しも(特にお年頃の女子なんてなおさら)どん底まで落ち込むし声を上げて大笑いもするし恋愛もするわけで。いろんな表情を見せながら、聴き手のどんな感情にも対応してくれるところが赤い公園というバンドの素晴らしいところかなと思います。
そんな彼女たちの4人体制最後の作品となったベスト・アルバムは、もちろん全シングル曲+アルバム・リード曲を収録したという記念碑的な意味合いを持ちつつも、リーダー・津野米咲が選んだという曲順にはなんとなく〈ダークゾーン〉〈恋愛ゾーン〉〈ドリーミーゾーン〉てな具合にいくつかのゾーンに分類わけがされていて、前述したようなバンドが表現するあらゆる感情をシームレスに味わえるようになっています。また全曲リマスタリングが施されているため、古い曲と最新の曲が入り混じっていても並列に聴けるのも大きな特徴のひとつ。それにしても初作『公園デビュー』の乳母車から始まり、〈女子の成長〉がテーマのアルバムジャケットとタイトルがここにきて『赤飯』とは……。成長を感じますね。