赤い公園 『絶対零度』 〈違和感とキャッチー〉のバランスの良さこそがいまの赤い公園の魅力

2020.01.28

赤い公園の魅力のひとつは、違和感とキャッチーさが同居していることだと思う。リーダー・津野米咲は、例えば“透明”のように、デビュー時からこれまで一筋縄ではいかない楽曲を数多く作り続けてきた。その一方で彼女は、バンドの曲に限らず提供曲においても、キャッチーで良質なJ-Popを作り続けてきたのも事実だ。新体制一発目となるシングルの表題曲“絶対零度”は、その〈違和感&一筋縄ではいかなさ〉と〈キャッチー&良質〉の両面をうまく組み合わせた楽曲に仕上がっている。

4拍子と3拍子(それも2拍ずつ動くからポリリズムのよう)、それに5拍子を行き来する超複雑な楽曲を聴けば、〈アニメのエンディング曲なのになんでこんな複雑にしちゃうんだよ〉と思うと同時に、まるで津野に〈ついてこれる?〉と試されているような気持ちにもなる。しかしサビのメロには一度聴いたら忘れられないキャッチーさがあり、そこで石野理子が歌う歌詞も〈未来に待ち受ける困難(=絶対零度)〉と〈それに負けない情熱〉を対比させていて、強い意志を感じさせる。この曲は、そんな〈違和感〉と〈キャッチー〉どちらの曲も書ける赤い公園の正統進化であり、そのバランスの良さこそがこれからのバンドの強みだと思うのだ。

一方で、そんなバランスなど一切気にせず毎回個性的・実験的な曲を聴かせてくれるカップリング曲は、〈sea〉という英単語を使った早口言葉から着想を得たという“sea”。前作『消えない - EP』収録曲の“Yo-Ho”に通ずるメカニカルなリズムの楽曲だが、それ以上に寂しくって孤独で幽霊的。そんな海の雰囲気は“絶対零度”の歌詞に登場する〈アラバの海(=死海)〉にも通じているようで、このバランス感覚も、また赤い公園。

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