繰り返す思い出を振り切ってのメジャー・デビュー! 6人が届ける胸いっぱいの愛を喰らえ!

 昨年10月に行われた赤坂BLITZでのワンマン〈IDOL is DEAD〉にて2度目のメジャー・デビューと新年の東名阪ツアー、そして両国国技館でのファイナル開催を発表。GANG PARADEとのツーマンによる〈HELL!! CLASH!! BREAK!! TOUR〉を挿みつつ、暮れの〈WACKのフェス。〉では長きに渡ったカミヤサキとアヤ・エイトプリンスのトレード終了も告知され、次の飛躍を予感させながら2017年を終えたBiS。ただ、年明け早々の〈BiS 2nd BEGiNNiNG TOUR〉初日には、グループの発起人であるプー・ルイの卒業という衝撃の発表が待ち構えていました。その背景はともかく、この人事異動が新生BiS始まって以来の試練となるのは間違いないでしょう。史上2度目となる因縁深い国技館の晴れ舞台は、BiSがプー・ルイとカミヤサキに別れを告げ、真の新生を果たすべき最初の一歩となるはず。そんなステージの先に控えるメジャー・デビュー作『WHOLE LOTTA LOVE/DiPROMiSE』は、アヤの戻った新たな6人編成と、プーとカミヤを含む7人編成でそれぞれ録音された変則的な両A面シングルとなっています。

BiS WHOLE LOTTA LOVE/DiPROMiSE CROWN STONES(2018)

 

寂しい雰囲気を出したくない

――ニュー・シングル、メジャー・デビューというタイミングなんですが、やはり話題としてはプー・ルイさんの卒業とサキさんのGANG PARADE復帰が大きくなります。

ゴ・ジーラ「ニュースが多いです」

――そもそもプー・ルイさんの卒業はいつ頃から共有されていたんですか。

ペリ・ウブ「あれ、いつだったかな?」

パン・ルナリーフィ「いろいろありすぎて、いつ何があったか……ダイエット企画が終わったぐらいから悩んでる空気は感じてたんですけど、本人から直接聞いたのは、11月とか?」

キカ・フロント・フロンタール「そうだね。ギャンパレとのツアーの途中ぐらい」

――その時はどう受け止めましたか。

キカ「話を聞いた瞬間に、私は〈あ、やっと決められたんだね〉って思ったんですよ。悩みというか、気持ち的に健康じゃないオーラを感じる時もあったので。だから、呪い……って言ったらあれですけど、そういうものから解き放たれたんだなって。そこは良かったなって思いました、プーちゃんがそう思えて。うん……良かったなって」

――そういう予感はみんなあった?

ももらんど「ちょっとだけ。聞いた時は、うん……〈そっか……〉みたいな……」

アヤ・エイトプリンス「聞いてくださいよ、私はメンバーからでもなく、普通に飲みの場で関係者の方に〈そういえば、プー・ルイが卒業するよ〉みたいに聞かされて。だから、みんなより遅く知ったショックもあったし、〈は?〉って。プーちゃんは前から〈BiSHもギャンパレも全員ぶっ潰す〉みたいに言ってて、で、私はギャンパレにトレード移籍してから、そんなプーちゃんとBiSに負けたくない気持ちでがんばってきたので」

――プーさんとは話せた?

アヤ「何か、プーちゃんが辞めることを受け止めるのが怖くて、直接はずっと何も言えなくて、スタッフさんとかメンバーから様子を聞くしかできなかったんですけど、12月の〈WACKのフェス。〉が終わった後に、プーちゃんに一言だけ、初めて〈何で辞めちゃうの〉って言えました、泣きながら。そしたら、あっちも何も言わないで泣いてて、みたいな。この間メールして、〈国技館前に話そうね〉っていう約束はしました」

――そんななか、7人での最後の活動にどんな気持ちで取り組んできましたか?

パン「対バンとかインストアを入れても、気付いたらあと数回、みたいな。そこはやっぱり寂しいですね」

キカ「私はもう何か〈残り少ないし、楽しもう〉っていう気持ち。寂しい、悲しい雰囲気を出したくなくて、〈ウチら楽しくやってますよ!〉っていう気持ちでやってきました。ライヴ前にみんなで〈今日はどんな感じでいく?〉って話し合うんですけど、いまは〈楽しくやろう!〉みたいな声が上がるので、みんなも同じ気持ちなんだなって思ってます」

ペリ「焦りみたいなのがなくなったのかな? 少し前まで〈もうすぐこの7人が終わってしまう〉っていう焦りっていうか、プレッシャーが凄かったんですけど、最近は、全部ちゃんと真剣にやるけど、やっぱり楽しまないといけないなって思えて、焦りがなくなった気がする」

――それと並行して、この6人でも集まって練習したり、先のことも踏まえて具体的に動かれてきたわけですね。

ペリ「そうです、年明けから」

――アヤさんのトレードと入れ違いで加入したパンさん、ももらんどさんから、アヤさんはどう見えてましたか?

パン「ギャンパレの他のメンバーさんとまったく一緒で、ギャンパレのアヤ・エイトプリンスとして見てました。逆にサキちゃんは私にとってはBiSのメンバーという感覚だったし……」

――アヤさんが復帰して、逆に後輩が入ってきたぐらいの感じ?

ペリ「確かに(笑)」

アヤ「そうなんですよ、BiS歴は私がいちばん短くなって。下っ端になってしまいました」

ゴジ「ほんまや。アゴで使っていいねん」

アヤ「何か買ってきてほしいものあったら言ってください」

 

左から、アヤ・エイトプリン、ゴ・ジーラ、キカ・フロント・フロンタール

6人のもがいてなさ

――では、シングルの話というところで、まず“WHOLE LOTTA LOVE”はこの6人での録音になります。

ペリ「これはBiSで初めてのラップがありま~す」

キカ「曲調は、いわゆるミクスチャーですね。雰囲気としては、パンとももが入ってからのシングルの傾向も引き継いでる感じで」

ゴジ「でも凄い明るくて」

ペリ「ね! 〈これから進んでいくぞ〉って感じ」

ゴジ「この6人で初めて録った一発目の曲になるし、いままでしたことのないラップも入ってたり、新しい始まりにあたって、やったことのないものを持ってきてくださって、凄く気に入ってます。で、曲調はやったことないけど、歌詞はいままでのBiSから〈行かなくちゃ〉とか〈my Ixxx〉とか大事な言葉は入ってて、新しい私たち6人の凄く大事な一曲になるんだろうな~って感じです」

パン「いままでもBiSの大切な曲には〈行かなくちゃ〉って歌詞が入ってたりしたので、これも新しいBiSの代表曲として育てていきたいなって」

ゴジ「ただ、いままでの“BiS”“BiSBiS”は〈行かなくちゃ〉って凄いもがいてる歌なんですけど、これは〈行かなくちゃって歌いすぎたよね~〉みたいな意味の、もがいてなくてコミカルな使い方になっているので、そこも何か始まりの感じがしてます。いままでとはまったく反対で」

キカ「そういう〈もがいてなさ〉も、この6人っぽい」

ペリ「そうだね」

キカ「辛いことがあっても、私たちそんなに悲壮感とかも出ないし、すぐに〈ウェイ!〉ってなっちゃうので、それが表れてるサビの歌詞だなって凄い思いました」

――そもそも悲壮感のなさは、5人時代から課題とされてましたね。

キカ「そうでしたね(笑)」

アヤ「よく言われてました」

――いまは逆にそこが持ち味になったってことなんですかね?

ゴジ「諦めたっていう。〈君たちに悲壮感を求めるのは無理だから〉って聞いたことある。〈あ、そうか〉と思って(笑)」

ペリ「もう、ハッピーにいく」

パン「いままでのBiSの、いろんな点と点と点がギュッて集まってるけど、それを〈あ~、昔のBiSは〉って悲観的に見るんじゃなくて、〈いままでのBiSがあったからこそ〉って前向きにがんばる気持ちで表してる内容だし、〈カミナリ落とそう〉って歌ってる通り、バカになって、ドーンッと6人で、やりたいなって思いました」

キカ「明るい」

パン「そう、明るいんですよね、うん、ホントに。みんなが意見を言い合って、いろいろできているので、凄いイイなって思います」

――加入した頃とは違いますか。

パン「何だろう、部活とかもそうなんですけど、上の先輩がいなくなったら絶対に自分たちがしっかりしないといけないじゃないですか? それを自分たちで〈よし、今日からしっかりやろう〉とか言うんじゃなくて、自然とそういう気持ちになれてるのが嬉しくて」

ゴジ「〈オトナ~〉みたいな(笑)」

パン「そうそう、嬉しいんです」

キカ「さっきも突然〈最近、練習楽しい!〉って言ってなかった?」

パン「言った、言った(笑)。だって楽しいんだも~ん(笑)」

ペリ「どうした?」

パン「いや、もともとも楽しいですよ、もちろん。何か毎日毎日毎日、より楽しくなってきてます」

――アヤさんは久々にBiSでレコーディングしてみてどうでしたか?

アヤ「あの、久しぶりにこういう重いロック調の曲を歌ったんですよ。だから、リズムをはめるように意識して歌ったんですけど、まずシンプルにレコーディングが超楽しかったです」

――でも、ずっと歌の軸だった声がなくなって心配してた人もいると思うんですけど、そこは何の心配もないですよね。

アヤ「ホントですか?」

ペリ「嬉しい」

――〈6人いるな〉っていうか、良いバランスで全員の個性が出ていて。特にゴ・ジーラさんは歌が太くなったというか、空手的な声というか。

ペリ「うんうんうん」

ゴジ「そうですね。前は自分でも〈これ、私の声?〉みたいなこと、よくあったんですけど(笑)、最近わかるようになりました、自分の声が。男みたいな声に。〈声変わりしちゃったな〉と思いながら聴いてます」

――はい、一方で7人体制ラストとなる“DiPROMiSE”はビターな内容というか、歌詞も愛憎が入り交じる雰囲気で。これまでのBiSの、ちょっと〈お墓〉みたいな曲だと思ってしまいました。

ゴジ「でも、そうだと思います。〈置いていくための歌〉みたいな感じは凄くあります」

キカ「うん」

ゴジ「この6人で進むために、いままでのBiSを成仏させる……って言ったらおかしいけど、うん、葬る感じは凄くしますね」

――松隈ケンタさんらしいピアノの感じとか凄いエモくて、〈これはちょっと何度も聴けないな〉っていうか。

アヤ「メンタルにきますよね」

ゴジ「練習してても泣いちゃう。でも、みんな泣いたらライヴできなくなっちゃうんで、いまのうちに泣いておこうと思って、いま泣いてます」

パン「練習でたくさん泣いておいて」

アヤ「歌いたかったです、私はとてもとてもとても。カッコイイ曲です」

ゴジ「ホントにね、凄くイイ曲だし、振り付けで言ったら、“DiPROMiSE”はもうホントにカミヤサキ、プー・ルイ最後の曲なので、7人でやってきたことをサキちゃんが全部ストーリーのように振付けしてくれてて、もう、やってて泣いちゃう感じの凄く良い振付けだし。で、こっちの“WHOLE LOTTA LOVE”は、ペリちゃんが全部考えてくれて、ね?」

ペリ「あ、私が考えました」

――丸ごと振付けした曲は初めて?

ペリ「いや、過去のアルバム曲でもやってるんですけど、お遊戯みたいだったんですよ、いま考えると。その当時は〈私は振付けできるぐらいの人だな!〉って思ってたんですけど、サキちゃんがBiSに来て本当の振付けというものを知って、〈いままでのは何だったんだ?〉って。いろいろサキちゃんに受けた影響を活かしてちゃんとやってみたいと思ったので、今回は自分から立候補しました」

ゴジ「凄くペリちゃんらしい振付けになってる」

ペリ「まず6人でのホントに始まりの曲だし、衣装もこんな感じで揃ってるので、ダンスもひとつみたいな感じで揃ってて、みんなが同じ動きで〈ひとつ!〉みたいなイメージで作りました。あと、曲が凄く明るくて楽しいから、ライヴも絶対お客さんと一緒に盛り上がるようにしたいので、ラップのところで〈愛〉って繰り返すじゃないですか? そこをみんなで〈Iジャンプ〉したいな~って」

アヤ「そっか、衣装が揃ってるのも初めてだね。そうじゃん」

キカ「ずっと色も形もバラバラだったんで」

ペリ「もう〈これがBiSだ!〉っていう感じで」

 

左から、ペリ・ウブ、パン・ルナリーフィ、ももらんど

最高になりたい

――現在は国技館を待つばかりの状況なんですが、その先のBiSはどうなるでしょう?

キカ「一人一人の個性とかスキルをもっとプッシュしていきたいなって思ってますね。それこそ、BiSの歌声であったプー・ルイがいなくなり、ダンスの上手いカミヤサキがいなくなるので、6人のBiSでは、それが〈全員いいじゃん〉っていう感じになりたいです」

パン「2人がいなくなって、やっぱり周りからはナメられると思うんですね。でも、〈そうじゃない〉っていうのをこの6人でまず観せなきゃいけない場所が国技館で。そこでみんなに〈この6人でBiSじゃん〉って思わせるところからまたスタートして、全国、全世界にBiSを知ってもらいたい。知ってもらったとしても、その時にカッコイイと思ってもらえないとダメなので、知ってもらったうえで恥ずかしくない自信を持てるように、キカも言ったんですけど、今年1年は力をつけたいです、みんなで」

もも「国技館がどうなるかまだ謎なんですけど、良くなるって思ってて……うん、良くしたいと思ってて、これからがんばらないといけなくて。BiSはずっといろんな人に愛されてるから、新しくなっても愛される、いろんなものを与えられるBiSになりたいです」

ゴジ「再始動してからツアー・ファイナルをどんどん大きなハコでさせてもらえるようになってて、今回はBLITZから国技館になって、その国技館の勢いを失わないまま、もう一段階上のステージに立ちたい。プーちゃんとサキちゃんは8000人の前でやったことがあるけど、私たちは経験がないので、キャパやお客さんが増えていく楽しさを凄く感じていて、たぶん国技館はもっと楽しく感じるとは思うので、それよりもっと上の楽しさを得るために、どんどんどんどん広がっていきたいなって思ってます」

アヤ「プーちゃんが言ってた通り、7人で最高な状態になるっていう最大の嫌がらせをして去っていくと思うんですけど、それをこの6人で超えて、もっともっと上の景色をみんなで見たいと思います。ずっとワクワクしてもらえるようなBiSになっていきたいです」

ペリ「うん。7人で絶対超えられない最高なものを作り上げて、そしたら次は自分たちの作った壁を6人で超えて、それを続けていって、最高になりたい。どんどんどんどん自分やBiSの歴史を超えていって」

――はい。そういえば、新メンバーの方が入るという話も一瞬ありましたけど。

ゴジ「もう忘れてた(笑)」

パン「懐かしいね」

ペリ「あった、そんなことも」

ゴジ「1週間だけ練習して」

――それで結局ナシになったんですか?

キカ「まあ、いろいろ事情もありまして」

ペリ「普通に良い経験もした。こういうこともあるんだって」

キカ「アヤは会ったこともないよね」

アヤ「会ったこともないし、何ならギャンパレのココとかから〈BiSに新メン入ったらしいじゃん〉みたいな噂を聞いただけで」

――情報通から(笑)。とはいえ、つまりは今後またその可能性もあるってことですね?

ペリ「はい。またオーディションが」

パン「合宿があるんで。何をするのかわかんないですけど、1週間もあるんです」

キカ「国技館が終わって、リリイベがあって……と思ったら、すぐ合宿がある」

ゴジ「だから次はまたメンバー変わってるかもしれないです。増えるかもしれないし、誰かいないかもしれない」

ペリ「増えるんじゃなくて(笑)」

アヤ「最後かもしれないです、この6人のインタヴューも」

ゴジ「何があるかわからないことが、また待ってます(笑)」

パン「ホントだね。何があるかわからないね」

ゴジ「まあ、乗り越えていきましょう」

――もう〈いまの6人を観られるのはいまだけ〉っていう。

ゴジ「諸行無常です」

アヤ「観に来ないと一生後悔するぞ」

パン「ホントに一生後悔する」

ペリ「そう、いまのBiSはいましかいないんです」

 BLITZでの〈IDOL is DEAD〉から国技館での〈WHO KiLLED IDOL??〉へ至る流れは、先代BiSの経験を改めてその身に刻み込むための儀式のようなものだったのかもしれません。その国技館で個々に残される忘れられない傷は、あえて言葉にしない別れの寂しさ。初めてオリジナル・メンバーがいなくなるこの先のBiSは、いよいよ未知のストーリーへ進んでいくことになります。