純粋なオリジナル作としては初のフル・アルバム。米津玄師やきゃりーぱみゅぱみゅ、チャーリーXCXらとの先行曲を含む歌モノの高水準ぶりは言わずもがな。banvoxを招いたEDM系トラップに〈UMF〉公式アンセムの“Love Don't Lie”など、DJで見せるアッパーで先鋭的な面も当然あるのはソロ名義ならではの自由さだ。一方で、80年代の坂本龍一の映画音楽を思わせる東洋的な旋律の表題曲と、フューチャー・ベースの“Give You More”では8ビットな音色を用い、ゲーム音楽に影響を受けたというルーツも窺わせる。常に時代の半歩先行くサウンドを提示してきた中田だが、ここでは彼らしい工夫と洗練を極めたサウンド・デザインの機能美が特徴的で、クリエイター魂が伸び伸びと発揮された会心作だ。