マリリン・マンソン、カサビアン
両者ともマンソン・カルトの信者からバンド名をとっている。マリリン・マンソン(本名ブライアン・ワーナー)は89年にこの劇場型バンドを結成。メンバーは皆グラマラスなスターと、有名な殺人鬼の名前を組み合わせて芸名としている。すなわち、スコット・パテスキーはデイジー・バーコウィッツ※1(デイジー・デュークと〈サムの息子〉として知られる連続殺人魔デヴィッド・バーコウィッツ)、ジョーディ・ホワイトはツイッギー・ラミレス※2(60年代のファッションモデルのツイッギーと、13人の殺人と11件の強姦で収監された連続殺人犯リチャード・ラミレス)、スティーヴン・グレゴリー・ビアはマドンナ・ウェイン・ゲイシー※3(ポップの女王と、パーティなどでピエロとして働き、少なくとも33人の男の子に性的暴行を行い殺したウェイン・ゲイシー)となった。
※1 初代ギター
※2 ベース/ギター
※3 キーボード
カサビアンは、カルトのメンバー、リンダ・カサビアンをバンド名とした。彼女はテート・ラビアンカ殺人事件で運転手件見張りをするため、自分の子供をスパーン牧場に残して現場に行っている。彼女は、殺人を犯したメンバーで唯一深い反省を示し(他のメンバーは殺人について笑っていたものもいる)、訴追免除と引き換えにカルトに対する証言も行った。彼女が法廷で証言していた際、マンソンは何度か首に指を走らせ(アメリカでは殺すという意味のジェスチャーで使われる)、カルト信者はさまざまな方法で彼女を脅して黙らせようとした。
マンソンのカルトについては曲も書かれていて、オジー・オズボーンの“Bloodbath in Paradise”やソニック・ユースの“Spahn Ranch Dance”が有名。
ガンズ・アンド・ローゼス
ガンズがマンソンの書いた“Look At Your Game, Girl”を93年のアルバム『The Spaghetti Incident?』に収録した際は、メンバーの狙い通り、大きな物議を醸した。このトラックの収録は秘密裏に行われ、事前発行コピーには含まれず、実際のアルバムではシークレット・ボーナス・トラックとして録音された。このレコーディングを主導していたアクセル・ローズは“Estranged”のミュージック・ビデオでもマンソンのTシャツを着ている。また、このアルバムの印税は、シャロン・テートの母が運営する犯罪被害者の為の会に寄付された。この印税収益については裁判も発生、犯罪被害者の子供達の一部も印税から支払いを受けた。マンソンの曲に加えて、彼の肖像は数々のTシャツに使用されたが、〈殺人の記念品〉には根強いコレクターがいる為、マンソン関連のグッズ(洋服や手紙など)は常に高値で取引されている。
エド・サンダースとレッグス・マクニール
2人はロック関連のライターで、マンソンのカルトに関する著作がある。
エド・サンダースは詩人兼社会運動家で、コミック・バンドのファッグスの共同創立者でもある。ファッグスは60年代後半、メジャー・レーベルからアルバムを発表するなどよく知られていた。71年にサンダースはマンソン・ファミリーについて書いた「ファミリー」を上梓する。サンダースはみずからも反体制文化の一員だったことから、裁判も傍聴し、非常に詳しいリサーチの末に、この題材についてはもっとも確かな本を完成させたと思われる。
マンソン裁判の検察官だったヴィンセント・バグリオシもマンソンに関する書籍「へルター・スケルター:マンソン事件の真実」(74年)を書いているが、こちらはバグリオシ自身をヒーローに見立てた犯罪小説という形で書かれ、700万部以上を売り上げた。
パンク誌の創設者で「プリーズ・キル・ミー」(2007年)の著者であるレッグス・マクニールは現在マンソンについての本を執筆中だ。レッグスと共著者のジリアン・マッケインはカルト信者やカルトの関係者に対して詳細なインタヴューを行った。今回彼らのインタヴューを受けた中には、今までインタビューを受けてこなかった人物等も含まれるという。マクニールは、この本は今まであまり語られてこなかった、マンソンを追いかけた女性たちにより焦点を絞っているとしている。マンソン自身はすでに多くのインタヴューに答えているし、彼の話には矛盾や、新聞の見出しを飾るべく作られた物も多いからだ。マクニールは、あるインタヴューで「私達が話を聞いた女性たちは全員、一度はチャーリー(・マンソン)に殴られている」と話している。
ソニー・ピクチャーズは、今回クエンティン・タランティーノ監督によるマンソン映画「Once Upon a Time in Hollywood」(旧仮題「69」)の世界配給権を獲得した。レオナルド・ディカプリオが、シャロン・テートの隣人だった落ち目のTVスター、リック・ダルトンを、またブラッド・ピットがダルトンの友人のスタントマン、クリフ・ブースを演じる他、トム・クルーズなど大物の関与が噂されている。この映画の封切りはテート・ラビアンカ殺人事件の50周年にあたる2019年の8月9日を予定。現在、このテーマで他にも「The Haunting of Sharon Tate」「Charlie Says」という2本の映画が、著名な俳優や監督により制作されている。