ワーナーミュージックの洋楽名盤シリーズ〈FOREVER YOUNG〉のリイシュー作品を紹介する連載! 今回はロックの歴史を象徴する巨人たちの20枚!
洋楽名盤をリイシューするワーナーミュージック発の〈フォーエヴァー・ヤング〉シリーズからタイムレスな定番タイトルを紹介していく連載。今回は7月9日に登場する第8弾にラインナップされたレジェンド3組の合計20タイトルをご紹介します!
まず、フリートウッド・マックは、もともとピーター・グリーンを中心にミック・フリートウッド(ドラムス)、ジョン・マクヴィー(ベース)らによって67年に英国で結成されたブルース・ロック・バンド。その後ピーターの脱退やジョンの妻クリスティン・マクヴィー(キーボード/ヴォーカル)加入など紆余曲折を経て、LAに移った75年にリンジー・バッキンガム(ギター/ヴォーカル)とスティーヴィー・ニックス(ヴォーカル)を加えた5人体制で大ブレイク。2022年にクリスティンが逝去して活動は実質的に終了するも、近年もドラマ「Daisy Jones & The Six」の題材になったりTikTokでリヴァイヴァルするなどモダンな形でその支持は定着しています。
2組目は、元バーズのデヴィッド・クロスビー、元バッファロー・スプリングフィールドのスティーヴン・スティルス、元ホリーズのグラハム・ナッシュが組んだクロスビー・スティルス&ナッシュ(CSN)。そこにニール・ヤングを加えたクロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤング(CSNY)への拡張も交え、衝突や和解を繰り返しながら断続的に活動を続けました。
そして3組目のドアーズは、今年が結成60周年にあたる伝説的なバンド。ジム・モリソン(ヴォーカル)、レイ・マンザレク(キーボード)、ロビー・クリーガー(ギター)、ジョン・デンズモア(ドラムス)の4名でデビューし、ロックスターとなったモリソンが71年に27歳で急逝するまで駆け抜けました。今回はそんな3(4)組の忘れ難い名盤たちを改めて紹介していきましょう!
邦題は〈ファンタスティック・マック〉。バンドにとっては通算10作目ながら、スティーヴィー・ニックスとリンジー・バッキンガムを加えた最強の5人組が揃った初めてのアルバムとなる。スティーヴィーが加入前から書いていた情熱的な“Rhiannon”、クリスティン・マクヴィーが書いて歌った“Say You Love Me”がヒットを記録し、歌も作風も引き出しの多さを見せる。リリースから15か月かけてジワジワ全米1位まで上昇し、黄金時代の幕開けを飾った。
前作の成功と引き換えにマクヴィー夫妻は離婚し、スティーヴィーとリンジーの交際は拗れ、ミックは妻の浮気に苦しみ……その奇妙な緊張感から生まれつつ、31週も全米1位を保持した金字塔(現時点でセールスは4千万枚超!)。全米No. 1に輝いたスティーヴィー作の“Dreams”やリンジー作の“Go Your Own Way”など各人の個性が活きた4曲のTOP 10ヒットをはじめ、普遍的なポップソングが連発される。5人で共作した唯一の曲“The Chain”もあり。
破格の成功作に続く期待を寄せられたアルバムながら、時流のポスト・パンクに傾倒したリンジーが変化を志向し、マイルドな前作の路線を踏襲する形にはならず。ドラッグの影響もあってか実験性も強まり、個々のソングライターが個の表現に集中した2枚組の構成は〈ホワイト・アルバム〉的でもある。それでもリンジー作の表題曲、ミックと交際〜破局したスティーヴィーによる“Sara”など佳曲は多く、アルバムも全英1位/全米4位を記録。
バンドにとって初めてのライヴ盤で、79〜80年に行われた〈Tusk Tour〉からベストな演奏を選び抜き、それ以前にキープしていた過去の実況音源もプラスして、この時代ならではの勢いが2枚組に凝縮されている。80年2月の武道館公演で収録された“Monday Morning”をオープニングに配し、以降も“Say You Love Me”や“Dreams”などのヒットパレードがズラリ。ピーター・グリーン時代の初期曲“Oh Well”やビーチ・ボーイズのカヴァーも聴きものだ。
ソロ活動の期間を経て結集し、『Rumours』に比肩する明快なナンバーを各々が持ち寄った80年代の彼らを象徴する代表作。それぞれ新たな共作者を迎えた曲作りをしているが、クリスティンとリンジーが歌う軽快な“Hold Me”、ソロでもブレイクしたスティーヴィー作の“Gypsy”が変わらぬマックらしさを約束する。リンジーによるオールディーズ調の“Oh Diane”はダイアナ妃の人気も絡んでUKでヒットした。アルバムも見事に全米1位に返り咲き。
周囲に状況を後押しされる形で集結した5年ぶりのアルバム。それぞれのソロ活動の延長線上にあるため内容はさまざまだが、リンジー作の冒頭曲“Big Love”に顕著なシンセ・ワークが全体にモダンな統一感を持ち込んでいて、質感は前作以上に80年代っぽい。クリスティン作の人懐っこい“Everywhere”と“Little Lies”がヒットする一方、ドラッグで不調のスティーヴィーも“Seven Wonders”で適度に枯れた円熟味を見せる。全英1位、全米7位を記録。
前作リリース直後に脱退したリンジーの後任にビリー・バーネットとリック・ヴィトーを迎え、4人のシンガー/ソングライターを擁する6人体制で仕上げた快作。名エンジニアのグレッグ・ラダニーが共同制作を担い、生演奏重視の作りで時代の揺り戻しに呼応する。軽やかなアップ“Save Me”と開放的な“Skies The Limit”といったクリスティン曲が際立つが、新参のリックが主導したグルーヴィーなロック“Love Is Dangerous”も快調だ。全英1位を獲得。
スティーヴィーとリックが脱退し、デラニー&ボニーの愛娘ベッカ・ブラムレット(ヴォーカル)と元トラフィックのデイヴ・メイスン(ギター/ヴォーカル)が加入した5年ぶりのアルバム。一度は去ったビリーが制作中に復帰してベッカと恋仲になるなど内実はかなり不安定だったようで、評価も高くない一枚ながら、あの時代とはまた別のバンドとして楽しむべきなのは確かだ。珍しくミックが書いて歌ったスポークン・ワード“These Strange Times”が聴きもの。
いわゆるルーマーズの5人が再結集したライヴ盤『The Dance』(97年)を経て登場した、フリートウッド・マックとしての最後(?)のスタジオ・アルバム。正式復帰したリンジーとスティーヴィーがソングライトを分け合い、98年に脱退したクリスティンのコーラスや演奏も活かす形で5人それぞれの貢献がインプットされている。シェリル・クロウやジョン・シャンクスもゲスト演奏に参加。程良い枯れ具合が絶品で、全米3位/全英6位のヒットを記録した。
60年代にそれぞれのバンド活動で一定の支持を得た3人が手を組んだ、スーパー・グループによるファースト・アルバム。60年代の過激さから内省の70年代へ向かう過渡期の空気を自然に吸収し、美しいメロディーとハーモニーで満たされたフォーク・ロック作品が全米6位まで上昇したことは以降のシーンの様相を大きく左右した。代表曲の“Suite: Judy Blue Eyes”と“Marrakesh Express”はここに収録。今回のリイシューはボートラ4曲入り!