©Luke Shadrick

ダフ・マッケイガンの緩急に富む音楽性を堪能せよ!!

DUFF McKAGAN 『Lighthouse: Live From London』 Earmusic/ソニー(2025)

 ガンズ・アンド・ローゼズのベーシスト、ダフ・マッケイガンが2024年10月5日に開催したロンドン公演の19曲を収録したライヴ盤『Lighthouse: Live From London』をリリースする。その19曲は『Tenderness』(2019年)と『Lighthouse』(2023年)という改めてソングライティングにフォーカスした2枚のソロ・アルバムの曲を中心にセレクト。そのためダフみずから奏でたアコギのアルペジオから始まる1曲目の“Forgiveness”をはじめ、前半はバラードが続くが、ライヴの流れにアクセントを付けるように間に挟まれる“Chip Away”“I Saw God On 10th St.”といったロックンロールもストーンズ風だったり、ボブ・ディラン風だったりと、パンクだけじゃないルーツが垣間見えるようで興味深い。ちなみにディランはかつて前掲の“Chip Away”を引き合いにダフの作曲を絶賛したそうだ。そんな聴きどころもある一方で、前半のハイライトと言えば、やはり“Tenderness”と“Feel”という2曲のピアノ・バラードになるだろう。後者からはゴスペルの影響も窺える。

 そして、エレキに持ち替え、コードを掻き鳴らす“Longfeather”に始まる後半はガンズ・アンド・ローゼズの“You’re Crazy”も交え、ロックンロールで楽しませつつ、“Lighthouse”と最後を飾る“Don’t Look Behind You”という長尺のバラードを堂々と歌いきってみせる。曲を捧げてしまうほどリスペクトしてやまないジョニー・サンダースの“Can’t Put Your Arms Around A Memory”はガンズ・アンド・ローゼズでも歌っているお気に入り中のお気に入りだが、同曲とデヴィッド・ボウイの“Heroes”ではかつてニューロティック・アウトサイダーズで活動を共にしたセックス・ピストルズのスティーヴ・ジョーンズをゲストに迎えている。その2曲に加え、〈みんなも絶対好きだろ?〉と演奏しているに違いない“I Wanna Be Your Dog”“I Fought The Law”というカヴァーの選曲もダフがキッズだった頃の無邪気さを思わせ、微笑ましい 。

 ロックンロール・ハートを持ったシンガー・ソングライターの面目躍如。そんな言葉がふさわしいライヴは初回生産限定盤に付くBlu-rayの映像でも楽しむことができる。

左から、ダフ・マッケイガンの2023年作『Lighthouse』(The World Is Flat/BSMF)、ガンズ・アンド・ローゼズの2023年のシングル“Perhaps”(Geffen/ユニバーサル)