乗り越えた山の果て、ぶっ壊した道の先で、再会した7人を待っていた新たなる希望――全身全霊で臨む9SOULの初シングルが堂々の登場。ここからは第2章だ!

入るならこの2人がいい

 2月のシングル“BREAKING THE ROAD”を引っ提げたマイナビBLITZ赤坂でのワンマンを大成功に導き、アヤ・エイトプリンス(BiS)とのストーリーを清々しく完走したGANG PARADE。3月にはBiSにトレード移籍していたカミヤサキが復帰し、昨春以来となる7人のラインナップに戻ったのも束の間……“BREAKING THE ROAD”で〈Looking for 勇者〉と歌っていた通り、同月に開催された〈WACKオーディション〉合宿の結果、新メンバー2名の加入が発表となります。そこから1か月足らずの準備期間を経て、4月17日には過去最大規模となるZepp DiverCity TOKYOでのワンマンを開催、月ノウサギとハルナ・バッ・チーンを迎えた9人体制のお披露目を果たしたのでした。そして、そこで初披露された9人での初シングル“GANG 2”がいよいよ登場となったわけです。

GANG PARADE GANG 2 T-Palette(2018)

 

――ニュー・シングルの話の前に、まず、久々に復帰されたサキさんから見て、以前のギャンパレからの変化は感じましたか?

カミヤサキ「そうですね……みんなが均等に意見するようになったかな。ココとドクソンとゆゆ(テラシマユウカ)は……」

ユイ・ガ・ドクソン「サキちゃんと一緒やったのは、ちょうど半年ぐらいで」

キャン・GP・マイカ「私もまだやっと慣れはじめたぐらいだった気がする」

サキ「うん。だったので、パワーバランスもまだ均等じゃない感じがしたんですけど、帰ってきたら、それぞれ己のパワーを武器にしてる感じがより強くなって、一人一人が前より出てくる感じになったなと思いますね」

――サキさん自身の変化は?

サキ「前よりはみんなを頼ってる気持ちです(笑)。自分もトレード期間中はBiSのメンバーを頼りにして救われてきたところがあったし、ギャンパレでも良い意味でメンバーに頼っていこうと(笑)」

ココ・パーティン・ココ「サキちゃんもBiSにいながらうちらの成長をたぶん見ててくれたからこそ、前より信頼してくれてるのかなって思う瞬間はけっこうあって、離れてはいたけど各々でがんばってきたからこそなのかなって思います」

――ただ、7人に戻ったと思ったら、数週後の合宿オーディションで人が増えて。

サキ「可能性はあると思ってました(笑)」

――新メンバーのお二人は、もともとギャンパレのことをどう見てましたか?

月ノウサギ「WACKのことは知ってたので、もちろんギャンパレも前から知っていて、純粋にカッコイイなと思ってました。たぶん私が知った時期もあるんですよ、けっこうヤンキーチックなイメージもあったし、同時に凄いまとまりがあるのも感じてました」

ハルナ・バッ・チーン「私ももともと知っていて、〈すっごい踊るんだな〉って」

月ノ「いや、凄くわかる」

ハルナ「楽しそうだなって。でも、自分は合宿の時から踊れなかったので、〈いちばん踊れない私がギャンパレに入るとは……!〉って最初はビックリしました」

――オーディション合宿にはマイカさんが参加されてましたね。

月ノ「BiSさん、BiSHさん、ギャンパレの曲を課題曲みたいな感じで覚えてくるっていうか、事前に観てから行ったので何となく振りはわかってたんですけど、やっぱりマイカさん本物だから(笑)、合宿で本物を観てスゲエって思ったし、実際に“Plastic 2 Mercy”を踊ってメチャメチャ疲れて大変でした。でも、一番は楽しかったっていうのが正直な感想です。ギャンパレの曲で踊って、大変だったけど凄い楽しかった」

――合宿では途中からずっとお二人が同じ組で練習してたり、マイカさんが二人を指導する機会も多かったですよね。

マイカ「はい、新メンバーが入るとか全然、決定事項ではなかったんですけど、〈もしや?〉みたいな感じは薄々ありました。そしたら、みんなもそう思ってたみたいで」

サキ「こちら側も観ながらだんだん予想してきて(笑)。この子とマイカの組み合わせが多いから、もしかしたら……とか」

ココ「特に後半だね。まあ、うちらはそういう見方で観てたから」

――なぜギャンパレになれたんでしょう?

月ノ「改めて言われると〈何でだろう?〉ってなっちゃいますね(笑)。何でだろう?」

マイカ「合宿で練習を一緒にしていくなかで、個人的にこの2人からガッツを感じて。〈入るならこの2人がいいな〉って思ってました。後付けじゃないですよ(笑)。ハルナは最初ポンコツで、〈え、こんな子が入ったらちょっとヤバイぞ〉とか思ってたんですけど、ほぼ毎回同じチームで、徐々に成長していくのもずっと見てて、できないけど喰らいついてくる感じがギャンパレっぽいのかなって。月も、たぶん候補者の中でいちばんダンスをちゃんと覚えてきてたりして、意識の部分で近いものを感じたというか。それも理由かなって思いました」

 

泣くとは思ってなくて

――で、そこから1か月足らずでワンマンがあって。お披露目はどうでしたか?

月ノ「合格してからZeppまでの1か月、もうずっとテスト期間みたいでした。ご飯を食べてても、TVを観てても、〈いま私はこれをやってていいんだろうか?〉って」

ハルナ「わかる」

月ノ「そう、何かにずっと追われてるみたいな。実際にどれだけ緊張するかもわからなかったんですけど、当日のリハでステージに立ったら気圧されて、そこからずっと緊張してて……もう心の整理の仕方もわからなくなって、直前までずっと泣いてました。ステージにSE鳴った瞬間ぐらいで〈やるしかねえ!〉みたいに吹っ切れたんですけど。自分でも流石に泣くとは思ってなくて、いまでも不思議なんですけど、いままで味わったことのない感情になりましたね」

ハルナ「緊張して、もう記憶がなくて、凄い一日でした。最初と最後のほうだけポロッと覚えてるんですけど、そこだけでも私の人生の中で大きな思い出っていうか、ゴーンッて岩が入ってきたみたいでした。思い出の中に、何かゴツイのが」

サキ「ゴツイのが(笑)。でも、2人が堂々と立ってて良かったです。私もギリギリまでどういう気分で立つかわからないぐらいだったんですけど、当日はそれぞれの課題が見つかりつつ、周りの方が〈始まりとしては凄く良いステージだった〉って言ってくださって、凄く良い自信ももらえました」

――当日は20曲以上パフォーマンスされましたけど、歌割もダンスも9人用に変える作業を1か月で全曲やったわけですよね?

マイカ「たまたま地方に行かせていただくことが多かった時期で、集まれる時間も限られてたんですけど、フォーメーションはみんなで手分けして作り替えました」

テラシマユウカ「例えば私は自分の作詞した曲とか、サキちゃんがいない時期のアルバム曲とか、ユアちゃんミキちゃんと分担したりして」

ヤママチミキ「思った以上に9人って難しくて、2人足しただけだと、ホントに7人+新メンバーみたいになってしまうし、歌割が変わったのもあってけっこう悩んで。フォーメーションもとりあえず作れるんですけど、実際に動いてみないとわからないので、その都度その都度、修正しつつ……っていうのを1か月間ずっと繰り返してましたね」

サキ「やっぱりギャンパレはチーム力が強いからこそ、いかに9人になってもひとつのフォーメーションで見せるかを考えてると、だんだん脳がウ~ッてなって(笑)。あと、たぶん単純に、7人までが何かひとつのラインなんですよね」

マイカ「うんうん」

サキ「そこからどうすれば9人でより良く見えるのか、感覚を掴むまで時間がかかりました。例えば2列とか3列になる構成では奥行きをうまく作らないと手を挙げても綺麗に見えないとか、実際にスタジオで合わせてみるまでわからなくて。そのぶん“FOUL”で〈BODY & 9SOUL〉って強く言ってるみたいに、カチッとハマった時は嬉しかったし、そういう達成感を喜びにしながら(笑)各自でがんばりました」

――歌割が変わったのも大きいですよね。

サキ「はい。ただ、歌割が変わったのを機会に、ちゃんと一人一人のパートにスポットの当たるフォーメーションを作れたから、そこは逆に良かったかも。自分が戻る時に改めて振り動画を確認してて思ったんですけど、歌いながら踊りに行ったり立ち位置を変えるっていう部分がけっこうあったんですね。それを例えば歌ってる子が前に飛び出てくるとか、その場でしっかり歌い切るとか、より各々が自分のパートを見せ場として使い切れるようにできたので、そこはいい機会になりました」

 

仲間が増えて力強くなっていく

――それと並行して“GANG 2”のレコーディングやMV撮影もされてたわけですよね。

ココ「はい。曲を貰ったのは2人の合格から1週間後ぐらいだったので、そこから急ピッチで進めて。最初に聴いた時は意外な曲調でビックリしました」

――前のシングルの威勢の良さから変わって、また逆境にあるような雰囲気というか。辛い状況を歌った曲ですよね。

ユメノユア「曲調もメロディーも、いままでのギャンパレには全然なかったものだし、やっぱり歌ってて凄く気持ちが入ります」

マイカ「個人的には合宿と重なる部分もあって。サビの〈もどかしい思い どうしよう〉とか、メンバーと離れた状況で、何もできなくて……っていう時の気持ちが、ライヴで歌ってても甦ってきます」

ミキ「曲も壮大で、ポジティヴ部分とネガティヴな部分が重なり合ってるような歌詞なので、その時々の自分の感情に合う言葉があったりして、いままでの曲と比べても圧倒的に感情が入る曲で、ホントに歌ってても、いままでにないぐらいの感情がブワ~って上がってきます。ラスサビで歌いながらどんどん増えていくところとか」

――2人ずつ増えて最後に全員で歌うみたいなのも新しいですね。

ミキ「そうなんですよ。どんどん仲間が増えていく感というか、そうやって力強くなっていくのは、ギャンパレらしい部分もあって凄くいいなって思います」

マイカ「最後は全員で横一列になって、舞台のキワキワまで前に出るんですけど、そこは渡辺(淳之介:WACK代表)さんにアイデアをいただいた部分ですね。〈こんなところで止まらないぞ〉〈もっと壊して進んで行くぞ〉っていうのを表現してます」

サキ「振付けは私とマイカで共作しました。トレード前にやってないことをやりたかったし、マイカは自分がいない間にその面を凄く引っ張ってくれてたので、絶対にやりたいと思って。みんなにも〈世界観をどういうふうにしたい?〉とか意見を訊いて、それを2人ですり合わせて作っていきました」

――全体のイメージというかテーマは?

サキ「〈ギャンパレの歴史〉っていうだけじゃなく、何か、〈歴史〉を感じてもらえたらいいなって話してたよね?」

マイカ「うん。〈時代に挟まっていく〉とか」

サキ「時の流れの中で悩んでる姿も想像できる歌詞だなと思ったので、悩んで苦しみながらも、もがいて進んでいこうとする状況を振付けでも表せたらいいなって」

――そういう振付けの部分でも逆境の曲っていう印象ですね。手枷がついて縛られてるみたいな動きをされてたり。

サキ「そこにあるものを掴もうとするのに、自分自身がガクンッて下がっちゃって掴めないっていう状況を表してます。確かに、もちろんみんなで前に進んでいく時期もあるけど、ギャンパレをここまで強くしてくれたのは逆境だから、常にそういう気持ちを忘れないでいられる曲なのかなって、いまこうやってお話していて思いました。常に良い逆境と共にある、みたいな(笑)」

――もう1曲、〈ライラ〉と読むカップリング“来了”は久々にミキさんの作詞で。

ミキ「はい。これはデモをいただいた時からチャイナ感が強かったので、その世界観を壊したくないと思って中国語で考えてて、良い感じにハマったのが〈来了〉でした。字面で見た時に漢字が多いほうがチャイナ感が出ると思ったので、Aメロとかはちょっと画数多めの漢字を多めにして(笑)。そこだけ決めて、全体的には〈がんばりたい人〉をテーマにしました。それこそ2人との練習が始まった頃くらいに書いたんですけど、その時期はやっぱり大変で。お仕事もやらせていただきながら、練習もあるし、フォーメーションも考えるし、みんなも自分も切羽詰まってきてた頃で。それでもがんばりたいし、その気持ちを書きたいなと思って」

――まさにその1か月の心情なんですね。

ミキ「はい。応援ソングってけっこうあるじゃないですか? でも、応援される側の気持ちってあんまりないし、そういう心情でここまでやってきたんだっていうものを見せたいなっていう思いで書きました。なので、わりとネガティヴです(笑)」

――曲調はカッコイイですけど、ニセ中国語みたいな歌い方のクセが凄いですね。

ココ「もとから私はC-Popとかよく聴くんで、〈これは寄せてったほうがいいな〉と思ってレコーディングに臨んだら、松隈(ケンタ:プロデューサー)さんも〈中国語っぽくクセのある感じで歌って〉って。日本語を英語っぽく歌うのってあるじゃないですか? それの中国語ヴァージョンをやってみてって言われて、挑戦してみました」

月ノ「私は振り切るのが苦手なので……どうしようって思いましたね(笑)」

マイカ「振付けも中国武術の型みたいなのが入ったりして」

サキ「演武の動画とかをめっちゃ観ましたね(笑)。あと、間奏に『ポリス・ストーリー』モチーフな音が入ってくるので、逃げてるところとか、キョンシーとか、中国を連想させる動きがいろいろ入ってます」

 

変わっていくのを見せる

――ちなみに、9人になってからも日々の修正点や課題は共有されていますか?

サキ「そうですね。課題はいろいろあるんですけど(笑)、いまは精神的にどうひとつになるのか?みたいなところで」

ココ「振りを揃えるとかは、練習量に比例するだけだと思うんですよ。やっぱりそれ以外の部分をギャンパレは大事にしてきてて、これからも失いたくないので。7人だけで意思疎通できてても違うし、9人でひとつって言えるまで、まだ1からやりはじめたばっかりです。毎回のライヴで2人もそれを少しずつ掴んでいる途中だし、私たちもサポートしつつ探ってる途中で」

――アヤさんの時とはまた違いますよね。

ココ「うん。ある意味アヤは同期だったけど、2人は初めての後輩だし、自分たちが引っ張る役目になること自体も初めてなので、そこも成長が求められるというか」

ゆゆ「DiverCityの時は時間がなさすぎて、2人に振りを入れることしか考えられなくて。土台も出来てないのに骨組みだけ整えてどうにかしようとしてた部分はダメだったし、しっかり9人の土台を固めないといけないんだと思います。それを〈REBUILD TOUR〉でコツコツやっていきたいです」

――はい。その〈REBUILD TOUR〉が7月から始まります。〈REBUILD〉ってことは、また建て直すってことですね。

ミキ「前のツアー・ファイナル〈MAKING THE ROAD〉で道を作ったので、そこに土台から建て直して」

――9月のファイナルはZepp Tokyoです。

ココ「お披露目から5か月くらい経って、どのくらい9人の形が出来上がったのかを楽しみにファイナルに来てくれる人も多いと思うんで、その間に9人で〈初めまして〉の地を回って、成長した姿を最後に見せたいなって感じです」

――サキさんはギャンパレでは1年以上ぶりのツアーになりますね。

サキ「はい、久しぶりだし、初めての場所も含めて、ギャンパレで9か所も回らせていただけるのは初めてだし。BiSで長期間のツアーっていうのを久しぶりに経験させていただいて、ツアーで作り出せるものや学べるものってやっぱり凄いなと改めて思ったんですね。なので、各地に行ける喜びっていうのを絶対に忘れず、そこでしかできない、その日にしかないライヴを作り続けてファイナルに繋げたいなとシンプルに思ってます」

ゆゆ「いろんな地方で観てもらえる良い機会なんで、全国各地に爪痕を残して、最後はZepp Tokyoでドッカ~ンって」

月ノ「DiverCityがあれだけ大変だったのに、それと同じ曲数を9回もやるのか……みたいな恐ろしさはあるんですけど(笑)、全部乗り越えてZepp Tokyoに繋げていきます」

ハルナ「この前、EMPiREさんのBLITZのワンマンでしっかり長いライヴを観て、いろいろ感じたことがあったんです。ちょっとでも気を抜いたらお客さんもいろいろ思うだろうし、〈あ、やっぱりダメだな〉って思われちゃうのはイヤだから、ひとつひとつのライヴを大切に大切にして変わっていきたいし、変わっていくのを見せていこうと思ってます」