1989年、2016年、2018年といくつもの日付が重なって出来上がった不思議なアルバム。ブレッカー・ブラザーズにジョン・スコフィールド、ジョージ・ムラーツにアダム・ナスバウム、そしてリッチー・バイラークのセクステットによるライブとスタジオの二枚組みである。どちらもマンハッタン最期の巨大スタジオと言われたクリントンでの録音である。バイラークは、デイヴ・リーブマンとかつてクエストというカルテットを主催していた、ボボ・ステンソンと並び称される美しいタッチで一時代を築いた孤高のアーティストである。バイラークとのデュオでフィーチャーされるマイケルのらしくない淡々とした節に涙。