アップアップガールズ(仮)、5人組としての生き様を見せつける5枚目!

 昨年8月に7人体制での最終作『4thアルバム(仮)』を投下し、11月には5人の現体制で最初のシングル『上々ド根性/Be a Girl』にて原点回帰を謳ったアップアップガールズ(仮)。以降は5人で初の全国ツアーも行ったりしつつ、リリース面では妹分にあたるアップアップガールズ(2)のコンスタントなシングルが目立っていたのですが、このたび届いた半年以上ぶりの作品は、1年を待たずしてのニュー・アルバム『5thアルバム(仮)』となりました。奇しくも5人になっての5枚目というわけで、これがまた現在の彼女たちを照らした決定盤とも言える作品になっているのです。

アップアップガールズ(仮) 5thアルバム(仮) T-Palette(2018)

 序曲“Overture(仮)NEO”で幕を開けて以降、先述のシングル2曲以外の10曲はすべてが初出の新曲。グループのサウンド・プロデューサーを務めるmichitomoを中心に、縁あるクリエイターや初顔合わせとなる作家陣が参加して、ひと味違うアプガの姿が提案されています。序盤からまず耳を惹くのはドラムンベース調に展開するアッパーな“唇はナイフ”。こちらは名曲“青春の涙”や先行シングルの“Be a Girl”を手掛けたRyuichi Kawasaki(作/編曲)とヒワタリスツカ(作詞)のコンビで、ここでも大人っぽいシリアスな側面を表現しています。同コンビの仕事では“ナイトフライト”も今風の抑えめなハウスで好印象。ヒワタリは“Lady→GO!”の詞も共作していますが、こちらは“Be a Girl”のリミックスを担当したDr.Usuiの作/編曲によるテクノ・ポップになっています。

 一方で、交流の深い大森靖子の詞曲をmichitomoがバキバキに仕上げた“KOMEDIUM”や、KOJI obaがトランシーな意匠を敷いた“最高シャイガール”、さらにagehaspringsの田中秀典と春尾ヨシダによるダンサブルな“Fighting Girls”など押しの強い路線ももちろん健在。また、の子(神聖かまってちゃん)が作曲した人懐っこい“勝ってたいんだよ”(作詞は児玉雨子)も予想以上のマッチングでしょう。そして、〈勝てなくても私達は負けない〉の一節にグッとくるラストの“私達”は、これまでもツーマンなどで現場を共にしてきたTHE イナズマ戦隊による応援歌のようなナンバー。〈諦めの悪い生き様〉を泥臭く肯定する姿には何かを感じざるを得ません。ここから7周年ツアーに突入する5人の闘志が伝わってくる一枚であります。