インタビュー

STUTS『Eutopia』 トラックメイカーからコンポーザー、アレンジャーの領域へと踏み出して描かれる〈理想の場所〉

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名を広める前から素晴らしかったSTUTSの仕事遍歴

 STUTSの名を一躍ポピュラーにしたのがPUNPEEをフィーチャーした“夜を使いはたして”なのは本文にある通りだが、もちろん彼の裏方としてのナイスな仕事歴はそこから数年も遡ることができる。YOUNG DRUNKERやZONE THE DARKNESSも手掛けた活動初期に脚光を浴びた契機は、PUNPEE総指揮によるRAU DEFのデビュー作『ESCALATE』にジャジーな“STINGA”を提供した2010年、KMCの『東京WALKING』で7曲を制作したことだろう。なかでも熱血な語りとクールなビートの織り成す“HIPHOPが好き”(昨年になって公開されたMVも必見!)は好事家に支持され、以降はCHIYORIの美麗な“LOVE & LIGHT”(2011年)、haiiro de rossiの“Espresso”(2012年)と大ぶりなネタを品良く処理したビートをトレードマークに佳曲を送り出していく。JJJと手合わせした“Choose”やザ・なつやすみバンド“S.S.W”のリミックスもこの時期の産物だった。

 ふたたびKMCと組んだ名曲“KING”やパブリック娘。のサマー・チューン“Summer City”を世に出した2015年あたりまでは、アスベストやHOOLIGANZらラッパーとの合体が中心だった彼だが、そこからの転換点となったのはやはり、ここまでの経験と人脈を活かしてオムニバス的に構成された初作『Pushin'』(2016年)だ。ここでPUNPEEやEVISBEATSらに続く心地良いループの名手として注目の輪を一気に大きくしたSTUTSは、iri“Wandering”のアレンジやAFRO PARKER“Life Is Good”のリミックス、JJJ“ORANGE”のプロデュース、KID FRESINOと組んだペトロールズのトリビュート盤参加などを通じて、アーバンな洗練に開眼した新たなリスナー層の心をキャッチ。クリープハイプとの企画シングル、GRAPEVINEやNabowaのリミックスなど仕事の幅をさらに広げる一方、Alfred Beach Sandalとの数年ごしのコラボを連名アルバム『ABS+STUTS』に結実させ、そこに収録された“Horizon”をCHEMISTRYがカヴァーするという動きも興味深かった。

 今年はMaliyaの佳曲“Breakfast In bed”やTKda黒ぶち“FiREE”、Homecomingsや大比良瑞希のリミックスも手掛けている彼が新作を機にさらに飛躍するのは間違いない。 *出嶌孝次

関連盤を紹介。

 

STUTSの参加した作品を一部紹介。