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〈スーパー・デラックス エディション〉 a festival for other music――他の音楽のための祭典、いよいよ11月に六本木スーパー・デラックスにて初開催!

〈スーパー・デラックス エディション〉 a festival for other music――他の音楽のための祭典、いよいよ11月に六本木スーパー・デラックスにて初開催!

a festival for other music~他の音楽のための祭典
いよいよ11月に、六本木スーパー・デラックスにて初開催!

 かつて吉祥寺に存在した喫茶店でありイヴェント・スペースのサウンド・カフェ・ズミは、そのコンセプトに〈他の声、他の静謐〉という瀟洒な一節を掲げていた。それはレコードや書籍をはじめとした膨大なフリー・ミュージックのアーカイヴを所蔵し、60年代から現在まで鋭い耳と目と思考でもって同時代を経験してきた店主・泉秀樹がナビゲートするこのカフェが、ジャンルとしての自由音楽ではなく、つねに他なるものへの想像力を起点に音楽を捉えていたということを意味するだろう。そのカフェ・ズミが惜しまれつつも閉店した2016年、遠く離れたスウェーデンの首都ストックホルムで、ひとつの音楽祭が始動した。〈他の音楽のための祭典〉――2018年11月22日から24日にかけての三日間、六本木スーパー・デラックスにおいて開催されるエディション・フェスティヴァルが掲げる言葉もまた、広い意味でのフリー・ミュージックの運動と同じ方位を向いている。

 2016年2月にストックホルムで第一回が開催されたエディション・フェスティヴァルは、同地在住の音楽家ジョン・チャントラーのオーガナイズによって始められた音楽祭だ。ペーター・ブロッツマンやグローブ・ユニティ・オーケストラ、あるいはオッキョン・リーなど欧米の先進的なミュージシャンを招聘して成功を収めたこのイヴェントは、翌2017年2月に第二回を開催。エリアーヌ・ラディーグ、イクエ・モリ、アンガーラド・デイヴィス、梅田哲也などより一層バラエティ豊かな面々が集結した。今年の2月には第三回が開催され、ニコール・ミッチェル、トモコ・ソヴァージュ、ジャン=リュック・ギオネ、タイショーン・ソーリー、マージナル・コンソートなど領域を異にする錚々たるミュージシャンたちが参加している。そして毎年2月にストックホルムで開催されたこの音楽祭が、来たる11月に〈スーパー・デラックス  エディション〉と題して、ついに東京でも開催されることになったのである。

 スーパー・デラックス  エディションでは、スウェーデンからクリスティーン・エドルンドやマルタ・フォスベリら視覚と聴覚を扱うサウンド・アーティストが来日。同じくスウェーデンのレイフ・エリグレンは、カナダのクリス・コールとオーストラリアの言わずと知れたギター奏者オーレン・アンバーチと共演する。アンバーチも注目しているメルボルン出身のドラム奏者ジョー・タリアは、ジム・オルークと石橋英子とのトリオで出演。あるいは京都を拠点とするパフォーマンス・アート集団〈ANTIBODIES Collective〉や、コントラバスクラリネットの大蔵雅彦と電子音響の宇波拓によるユニットThey Liveも出演する。さらにテーリ・テムリッツによる最新のオーディオ・ヴィジュアル作品『Deproduction』が上映されるかと思えば、ニューヨークの前衛ジャズ・シーンでも活躍するサックス奏者マタナ・ロバーツも出演するから驚きだ。デレク・ベイリーとの共演歴もある英国のピアノ奏者パット・トーマスは、スウェーデンのコントラバス奏者ジョエル・グリップとフランスの若きドラム奏者アントニン・ジェルバルとのトリオ編成でライヴを行う。また第一回のエディション・フェスティヴァルにおける、オッキョン・リーとエレン・フルマンによるノイジーなドローンが悠然と絡み合うデュオ演奏が、スーパー・デラックス エディションに合わせてアルバム『The Air Around Her』としてリリースされる。

 サウンド・アート、フリー・ジャズ、電子音響、即興音楽、ヴィジュアル・アート、パフォーマンス・アート……様々な領域が入り乱れ、どのようなジャンルの言葉を用いても全体を括ることのできないユニークなラインナップが揃うエディション・フェスティヴァル。サウンド・カフェ・ズミはなくなったが、他なるものへの眼差しを抱き続けるフリー・ミュージックの遺伝子は、こうしたところにも生きている。〈私(たち)の音楽〉ばかり追い続けて凝り固まった耳を、普段は出会うことのない取り合わせと、予測不能な音の力で解きほぐしてくれる、またとない機会になることだろう。

 


スーパー・デラックス エディション (SuperDeluxe Edition)
ジョン・チャントラーのオーガナイズにより、2016年2月にスウェーデン、ストックホルムで開催された〈Edition Festival for Other Music〉の東京開催版。スウェーデンでは、世界中で冒険的な音楽を好きな人たちが多く集まって、高い評価を得ている。

 


LIVE INFORMATION

SuperDeluxe Edition スーパー・デラックス エディション
○11月22日(木)~24日(土)

【出演】
○11月22日(木)
ANTIBODIES Collective
They Live(大蔵雅彦・宇波拓)
レイフ・エリグレン/クリス・コール/オーレン・アンバーチ
sdlx.jp/2018/11/22

○11月23日(金)
マルタ・フォスベリ
クリスティーン・エドルンド
テーリ・テムリッツ
sdlx.jp/2018/11/23

○11月24日(土)
石橋英子/ジム・オルーク/ジョー・タリア
マタナ・ロバーツ
パット・トーマス/ジョエル・グリップ&アントニン・ジェルバル
sdlx.jp/2018/11/24

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