途轍もない美曲の連続に感嘆しきりのニュー・アルバム。「大豆田とわ子と三人の元夫」の主題歌をSTUTSと共作、というトピックも軽く凌駕する傑作の登場だ。鍵盤と歌声のみでしっとりと聴き手を引き込む“calling”のオープニングからただならぬ歌力が全開だが、さらにはtofubeatsのリアレンジでハウシーに飛翔する“free me”、壮大なスケールのシンセ・ポップ“acception”、STUTSとのレイドバックした2曲、石橋英子を交えてbutaji流の歌謡性を際立たせた折坂悠太との共作曲“トーチ”、神聖な空気すら漂うフォーキーなバラード“RIGHT TIME”など、歌に酔わされるってこういうことだとひたすら実感。オルタナな質感と、いつの時代にも馴染みそうな普遍性が同居する稀有なポピュラー・ミュージック集だ。